埼玉新聞

 

浦和レッズ一筋、平川コーチが引退試合 闘莉王氏、小野伸二選手らと共演 これからのレッズを「アジア一に」

  • 引退試合後のセレモニーで、スタンドのサポーターに手を振る浦和の平川忠亮コーチ=22日午後、浦和駒場スタジアム

 2002年のプロ入りから浦和レッズ一筋17年。左右の両サイドを主戦場に走り続け、18年に現役を引退した平川忠亮氏(現コーチ)が22日、浦和駒場スタジアムで引退試合「三菱重工カップ」を開催した。かつての盟友たちと「URAWA ☆☆☆ LEGENDS(スリースター レジェンズ)」を結成し、現役の浦和レッズと対戦。4991人のサポーターが夢の共演を目に焼き付けた。

 引退後は指導者の道に進み、19年3月からコーチとしてトップチームを支えている平川氏。「自分が楽しむことが一番の恩返し。(引退試合を)やって終わりではなく、これから先のレッズをよくしていく部分に力を注ぐことが僕の任務」と開催に向けて尽力した周囲への感謝を口にする。

 コロナ下、開催の是非を自問自答する中で、「失敗してもチャレンジし続け、その先に栄光があることをこのチームで学んだ。こういった時世だからこそ、伝えられるものがあるのではないか。もちろん賛否あると思うが、発信していくことにチャレンジしたい」と決断した。

 浦和のユニホームに刻まれた三つ星が表す、06年のリーグタイトルと07年、17年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)優勝。平川氏は当時のチームを支えた田中マルクス闘莉王氏、小野伸二選手(現札幌)ら豪華な顔触れを集めた。

 「半分以上引退しているので厳しい部分はあるが、局面で“魅せられる”部分、こういう部分が現役に足りないんじゃないかと、みんなで少しずつ伝えられたら」。浦和が獲得した全てのタイトルを知る平川氏の情熱は、現役の選手たちにとっても、またとない贈り物となったはずだ。

 試合は0―1の前半39分に平川氏がPKを決めてレジェンズが追い付くと、5分後には流れの中から平川氏の左足シュートで勝ち越し。2―2の後半9分に決勝点となるPKを決め、平川氏がハットトリックを達成した。

 試合後のセレモニーでは、平川氏と“同期入社”でクラブの代表を務めた犬飼基昭氏が「アジア一のクラブに仕立てていってほしい。サポーターの皆さんもそのつもりで平川を育て上げて」とエールを送った。

 平川氏は「サポーターを巻き込む犬飼さん節が見られてよかった。もちろんアジア一のクラブにするつもりでやっている。その姿を犬飼さんやサポーターにお見せしたい。ここでデビューして、ここで引退試合ができることを幸せに思う」と実感を込めた。

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