埼玉新聞

 

夏の風物詩フィナーレ 「関東一の祇園」熊谷うちわ祭 コロナ禍前と同じ実施形態で完全復活 高温対策で休憩所設置 費用やスペース増設には課題も

  • 行宮祭で祈願詞を奏上する大総代の萩原直幸さん=22日午前9時半ごろ、熊谷市星川のお祭り広場

    行宮祭で祈願詞を奏上する大総代の萩原直幸さん=22日午前9時半ごろ、熊谷市星川のお祭り広場

  • 初めて設けられた休憩所で涼む熊谷うちわ祭の来場客=21日、熊谷市内

    初めて設けられた休憩所で涼む熊谷うちわ祭の来場客=21日、熊谷市内

  • 行宮祭で祈願詞を奏上する大総代の萩原直幸さん=22日午前9時半ごろ、熊谷市星川のお祭り広場
  • 初めて設けられた休憩所で涼む熊谷うちわ祭の来場客=21日、熊谷市内

 関東一の祇園といわれる熊谷うちわ祭最終日は22日、熊谷市の中心部で行われた。21日の巡行祭は今年から再び昼間に実施され、新型コロナウイルス感染拡大前の開催形態が5年ぶりに完全復活。熊谷の夏を彩る風物詩が、フィナーレを迎えた。

 お祭り広場に設けた行宮では、午前9時から行宮祭が催された。神官の浄衣に身を包んだ今年の大総代、萩原直幸さん(67)が、八坂神社の神が移されたみこしを前に祈願詞を奏上。宮司や参列した関係者が玉串を奉納した。

 日が暮れると、12カ町の山車と屋台がお祭り広場周辺に集結。最後のたたき合いに臨んだ。ステージでは、祭りを取り仕切る年番町の交代式に相当する「年番送り」を実施。今年の年番町を務めた第壱本町区の萩原さんから、来年の年番町第弐本町区で大総代に就任する松本邦義さん(59)に「年番札」が引き継がれた。

■休憩所設け、暑さ対策

 熊谷市の中心部で真夏に行われる「熊谷うちわ祭」は、5年ぶりにコロナ禍前と同じ実施形態が完全復活した。主催者側が力を注いだのが、厳しい暑さで知られる熊谷にあって、年を追うごとに危険性が増す高温対策。会場内では初めて、祭りの見物に訪れた観光客らが涼を取れる休憩所「お休み処(どころ)」が設けられた。

 休憩所は昼間に巡行祭を実施した2日目の21日と、最終日の22日に設置された。国道17号に面したコミュニティーひろばや、行宮が置かれるお祭り広場がある「星川シンボルロード」など計5カ所に開設。直射日光を防げるテントやあずまや内には、ミスト付き扇風機と冷水器を置いたりした。

 今年の祭りを統括する年番町を務めた第壱本町区の大総代、萩原直幸さん(67)は「熱中症予防は大切だが、具体策はあまり行われていなかった。今までにない発想で取り組んだ」と説明する。

 熊谷では20~22日の祭り期間中、3日間とも最高気温が35度を超える猛暑日を記録。休憩所は多くの人々に利用された。久々に訪れた市内の40代男性は、「良い取り組み。こういう場所があると助かりますね」と歓迎する。

 熱中症などの体調不良を訴えた人に対応する救護所は、これまでよりも1カ所増やし、2カ所とした。以前から看護師は派遣してもらっていたが、今年は初めてエアコンや冷蔵庫、ベッドを備えたコンテナハウスも用意。また、祭りのクライマックスとなる22日夜には、熊谷市消防本部の救急救命士が待機した。

 それでもなお、対策が十分だったとは言えない。3世代で21日に来場し、休憩所を使った市内の女性(36)は「どこにあるのか探すのが大変だった。もっとたくさんつくってほしい」と要望する。

 ところが、主催者側が新たに捻出した予算は100万円を超え、これ以上の負担増は難しいという。休憩所を設けるにはスペースの確保もしなければならず、露天商側との折衝も必要だ。萩原さんは「明らかになった課題を踏まえ、改善していければ。行政に支援などを働きかけることも検討したい」と語った。

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