埼玉新聞

 

飛び起きた人々、原因不明で恐怖…埼玉で連続放火の可能性、警官が警戒中に建物炎上 車2台など全焼 前夜も住宅が次々全焼、半径3キロ圏内で4時間以内に 浮かび上がった犯人像 近隣住民ら驚き「怖い」

  • 規制線が張られた火災現場=5日午前11時45分、久喜市菖蒲町

    規制線が張られた火災現場=5日午前11時45分、久喜市菖蒲町

  • 規制線が張られた火災現場=5日午前11時45分、久喜市菖蒲町

 5日午前1時35分ごろ、久喜市菖蒲町小林、男性(76)方敷地内から出火、平屋の倉庫1棟と自動車2台などが全焼した。けが人はなかった。4日未明、県南東部で、火災が相次ぎ発生しており、久喜署は不審火の可能性を視野に出火原因を調べている。

 同署によると、前夜の火災を受け警戒中の警察官が男性方から火が出ているのを発見したという。男性は1人暮らしで、出火当時母屋にいて無事だった。倉庫内の車2台、トラクター、コンバインが被害に遭った。

 付近では1~4日にかけて、半径約3キロの範囲で、いずれも夜間に同市菖蒲町菖蒲で住宅や倉庫などが燃える火災が3件発生。隣接する桶川市や伊奈町でも3件発生し、計6件火災が確認されている。県警は一連の火災について、連続放火の可能性も視野に捜査している。

 また、捜査関係者によると、一連の火災は土地勘のある人物が火を付けた可能性もあるとみており、現場付近を中心に広範囲で警戒を強化している。

■原因が分からず住民に不安の声

 5日午前、家屋や畑が並ぶ久喜市菖蒲町小林の火災現場には、赤黒く焦げた柱が傾いた倉庫が残され、火の激しさを物語っていた。規制線が張られた建物の中や周囲には黒いすす状の残骸が散らばり、倉庫内の車両は窓ガラスが焼け落ちていた。

 現場の向かいに住む男性(77)は午前1時半ごろ、近隣住民から火災発生を知らされ、飛び起きたという。「煙や火よりも驚きが大きかった。今は原因が分からず、怖い」と明かし、「報道で放火の可能性があると知った。長年住んでいるが、このようなことはなかった」と心配そうに現場を見つめた。

■前夜は火災5件、4時間のうちに

 4日未明、県南東部の桶川市や伊奈町、久喜市で、住宅や店舗、農業用ビニールハウスなどが焼ける火災が5件相次いで発生した。上尾署と久喜署は、火災が約4時間のうちに隣接する自治体の半径3キロほどの圏内で起きていることなどから、連続放火の可能性も視野に関連を調べている。

 上尾署によると、4日午前0時20分ごろ、桶川市加納の男性方の敷地内から出火し、ビニールハウス3棟などが全焼した。午前1時半ごろ、桶川市小針領家の男性(56)方から出火し、木造2階建て住宅を全焼。男性は避難する際に右手に擦り傷を負った。午前2時5分ごろ、伊奈町小針新宿の男性(78)方の敷地内から出火し、トタン製物置1棟が全焼した。

 約2時間後には久喜市内で火災が2件発生した。いずれもけが人はいなかった。午前4時5分ごろ、久喜市菖蒲町菖蒲、理容店店舗から出火し、木造2階建て1棟が全焼。約2分後、同市菖蒲町菖蒲の男性(67)方から出火、木造2階建て住宅1棟と乗用車3台が全焼した。

 久喜署によると、発生場所は直線上で約500メートルの距離。近所の女性は「近くでも火災があったと聞いている。誰かが火を付けたのかな。怖い」と心配そうに話した。

 久喜市内では今月1日、今回の現場から約4キロの住宅と軽乗用車が全焼する火災が発生。同署は4日の火災との関連性を含め捜査している。
 

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