埼玉新聞

 

ユニクロ熊谷ニットーモール店、「前あきインナー試着会」を開催 障害児、乳がん患者ら「素晴らしい」

  • NPOにじいろと「前あきインナー試着会」を開催したユニクロ

  • 熊谷総合病院PET棟で行われた試着会

 熊谷市に拠点を置く重症心身障害児家族の会のNPOにじいろ(牛頭智子代表)とユニクロ熊谷ニットーモール店が協働し、同市の熊谷総合病院で、服をかぶって着ることが難しい人向けの「前あきインナー試着会」が開催された。障害のある子どもとその家族、乳がん患者ら12家族37人が同市、行田市から参加した。

 きっかけは牛頭代表と友人のユニクロ社員三島由美子さん(53)の雑談から。ユニクロが「前あきインナー」を販売開始したが一部の大型店舗やオンラインのみの扱いで、試着することができなかった。体の自由が利かない子どもたちや乳がん患者が実際に試着、購入できる機会を設けたいと、2人が活動を始めた。

 前あきインナーは、腕が上がりづらい人がスムーズに着脱できたり、コットンなどの素材も吟味されている。前あきTシャツや肌着、前あきブラジャーなど当事者の声を吸い上げて仕上がった。

 試着するには、車イスが入れる部屋の広さと着替え用のベッドが必要だったことから、熊谷総合病院のPET棟診察室4部屋を提供してもらうことになった。総合検診センター竹井道善さん(59)は、「リハビリスタッフ7人も有休を取得し、率先して手伝ってくれました」と話す。

 乳がんサバイバーの笠原洋子さんと小野沢啓子さんは、「このデザインは思いやり。術後の人に受け入れられる細部(パット)までのこだわりが素晴らしい」。家族そろって楽しめたという県立熊谷特別支援学校の金井翼空さん(14)は「初めてズボンを試着できました」と大喜び。牛頭代表は「地域の協働がありがたい。こんな子どもたち(重症心身障害児)が生活していることを知っていただくことも目的です」と話した。

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