埼玉新聞

 

<新型コロナ>宿泊療養中に急変…埼玉は5人死亡、全て40~70代男性 知事「保健所の負荷軽減を」

  • 宿泊療養中に急変…埼玉は5人死亡

 県内で7月以降、自宅やホテルなどの宿泊施設で療養中に容態が急変して死亡した5人は全て男性で40~70代。そのうち2人は「県宿泊・自宅療養者支援センター」で健康観察を行っていたが、体調の記録が残されていなかった。24日には、センターが自宅療養完了者数を県に報告せず、療養者数が過大計上されていたことも明らかになっており、いずれも感染拡大に伴う業務のひっ迫が原因であるという。

 センターは県が都内の事業社に外部委託し、自宅療養者の健康観察や、必要に応じた電話相談などを行う。健康観察は音声電話に患者が体温や血中酸素飽和度などを入力することで行われるが、2人は一度も記録がされていなかった。入力が行われなかった場合は翌日にセンターの職員が直接電話し、必要な場合は保健所の職員が訪問するが、1週間記録のなかった70代男性に対してそれらの対応は行われなかった。

 県は新規患者の健康観察は再び保健所が行うこととし、自宅療養完了者の確認は新たに別業者に委託する予定。業務が滞り、請負業者が自宅療養者を過大計上していたことなどについて大野元裕知事は27日、記者団に「まずは、必要な方を医師へつなぐなど体制を作ることを優先している。全体の数値は近いうちに報告できると思う」と説明。「保健所にこれ以上の負荷をかけると県民の安心安全に関わる。一刻も早く負荷を軽減させる措置を取る」と話した。

 県感染症対策課は、自宅療養中に症状が悪化した場合、「保健所などの健康観察実施機関に連絡してほしい」とし、その後の対応については「保健所によって違いがある」と説明した。また、「ひっ迫した状態であれば緊急搬送の要請してほしい」としたが、緊急搬送の対象になる基準などは設けられていない。

ツイート シェア シェア