<新型コロナ>献血者が減少…緊急宣言など外出控え影響 埼玉県赤十字血液センター、継続的な協力呼び掛け
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言などの影響により、献血者が減少している。外出控えに加えて団体献血の中止が相次ぎ、必要人数に満たない状態が続いている。今後も減少が予想されることから、埼玉県赤十字血液センター(さいたま市見沼区)は「献血は不要不急の外出には当たらないので、近隣に配車される献血バスや献血ルームで継続的な協力を」と呼び掛けている。
政府の新型コロナ対策の基本的対処方針では、献血は緊急事態宣言時にも継続が求められる事業と位置付けられている。しかし、関東甲信越地域では7月11日から、献血協力者が必要人数に満たない状態が続いている。県赤十字血液センターによると、7月12日から8月8日までの400ミリリットル献血者数は、必要数8万9162人に対し、協力者8万2871人(約92・9%)だった。
献血された血液は各地に運ばれ、血液成分ごとに分離され、医療機関に供給される血液製剤となる。安定供給には献血者の協力が欠かせない。
同センターは「コロナの影響で高校や大学などに献血バスが出向けなかったり、講座ができなかったりしている。献血を知る機会もする機会も減ってきている」と指摘する。
企業や団体、高校、大学などに献血バスを配車し、献血の協力をしてもらう団体献血は昨年、延べ424団体が中止。今年も中止が相次ぎ、18日時点で8月は21団体、9月は16団体で中止となっており、今後も増える可能性があるという。
献血ルームでの献血数も伸び悩む。大宮出張所長新井浩さんは「コロナの影響で足が遠のいている傾向がある」と話す。
献血ルームなどでは、献血をした人に記念品を配布するなど、さまざまな工夫で献血者を確保。昨年11月から今年6月まで、必要協力者の達成率は100%を超えていた。しかし、今年7月に100%を割り込み、今月8日時点で94・4%と、献血者の確保が難しくなっている。
献血ルームに来ていた草加市の会社員金子彰浩さん(51)は「仕事もリモートワークをなどで、外出はあまりしないようにと言われている。(献血に)足が遠のいてしまう人もいるのではないか」とちゅうちょしている人に理解を示す。
一方、桶川市の会社員平井京子さん(66)は「こういう時だからこそ、できるだけやれることをと思って続けている」と語る。平井さんは、この日を含め、成分献血を今年だけで約10回行っている。「献血ルームは感染対策もしっかりされているので、安心できる」
献血ルームでは、手指消毒や検温など、コロナ対策を徹底。利用者が変わるたびベッドを拭いたり、スタッフの手袋を替えるなど入念だ。同センターは「皆さまが安心して献血にご協力いただけるよう各献血会場では安全対策を徹底している」とし、コロナ下でも継続的な協力を呼び掛けた。