埼玉新聞

 

学校でいじめなくすには さいたま市の全市立小中学校の代表集まりサミット 自校の取り組み紹介 他校の取り組みから発見や新しい気付きに

  • 各校が行っているいじめ防止の取り組みを発表する児童生徒=さいたま市立大宮国際中等教育学校

    各校が行っているいじめ防止の取り組みを発表する児童生徒=さいたま市立大宮国際中等教育学校

  • 教職員や保護者らが見守る中で、グループごとに話し合う児童生徒

    教職員や保護者らが見守る中で、グループごとに話し合う児童生徒

  • 各校が行っているいじめ防止の取り組みを発表する児童生徒=さいたま市立大宮国際中等教育学校
  • 教職員や保護者らが見守る中で、グループごとに話し合う児童生徒

 「ストップいじめ」の意味は。学校でいじめをなくすには―。さいたま市立大宮国際中等教育学校で「ストップいじめ!子どもサミット」(さいたま市教育委員会主催)が開催され、同校を含む全市立小中学校の代表児童生徒163人が自校のいじめ防止の取り組みを紹介し、課題を話し合い、班ごとに発表した。児童生徒からは「みんなが優しくなれる温かい学級、学校をつくることがいじめをなくす第一歩」などとあいさつやコミュニケーションの大切さを伝える声が多かった。発表を聞いた先生や保護者らは支え方を考えるきっかけとなり、子どもも大人も、実りあるひとときを過ごした。

■プロセス知る機会に

 市では過去10年、各学校の代表児童生徒が「さいたま市子ども会議」でいじめ撲滅のテーマについて協議し、その結果を代表者が後日行われる「いじめ防止シンポジウム」で発表する形を取ってきた。ただ、成果があった一方で市内のいじめ認知件数は減らず、さらに地域や保護者らからは「自分が関わっている学校の取り組みしか分からない」などの意見があったという。

 これまでは子ども会議の名の通り大人は参加せず、またシンポジウムでは時間の制約があり一部の学校の取り組みしか紹介できなかった。そこで今回から二つを統合。児童生徒がグループ内で主体的に協議し、アイデアを出し合い発表する。その様子や発表までのプロセスを先生や保護者にも見てもらうことで、互いの当事者意識が高まったり、市全体でいじめ防止への機運を高めるのが狙いで、竹居秀子教育長は「他校の取り組みに気付きや発見があり、いい形で自分たちの取り組みをブラッシュアップできる。新しいいじめ防止対策の一手になるのでは」と期待を寄せる。

■特色あふれる取り組み

 今回のサミットには各校の児童会や生徒会の代表者が参加。4、5人ずつ計40班が20教室に分かれ、それぞれが自校の特色あるいじめ防止の取り組みを紹介し、「ストップいじめ」の意味や意識が浸透している学級、学校はどんな雰囲気なのかなどを考えた。

 その後、班ごとに教室でパソコンを使い、先生や保護者らに発表する側と、他の班の発表を聞く側(30分交代)に分かれた。発表の中では良好な人間関係を築く目的で「ありがとうBOX」を設けたところ、恥ずかしがらずに感謝の思いを伝えられる人が増えたり、「ほっこりポスト」に体験談を募集して放送で流すことでうれしさや楽しさなどポジティブな気持ちを学校全体で共有しているなど、多くのエピソードが披露された。

 参観した小学校の校長先生からの質問では「自身の考えるいじめとは」との問いに、児童生徒が「している方は自覚はなくても、された方が嫌だと感じたらそれはいじめです」と答える場面もあった。

■支える大人の役割

 指扇中3年で生徒会長の菅間詩穂さん(14)は他校の取り組みを参考に「優しさの輪がつながっていくことで、ストップいじめの雰囲気が広がると思う。笑顔を増やせるような運動をやりたい」、原山小6年で児童会長を務める門松佳歩さん(12)も「いじめを見たら注意すること。一人一人が自分事としてやってほしいし、自分もしっかりやりたい」と決意を新たにした。

 サミットには全体で約700人が参加。大人も、多くの学校の取り組みを知ることで子どもたちのフォローの仕方を改めて学ぶ契機になった。原山小の佐藤美結教諭(25)は「(子どもたちの)こうしたいという思いを、実現に向けて環境を整えたり、より良いアイデアを提案していくことも大切」と力を込めた。

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