東京五輪・パラの聖火リレーを記念 埼玉・川口、聖火台1号機近くにソメイヨシノ植樹「街への誇り持って」
川口市の青木町公園で29日、東京五輪・パラリンピックの聖火リレーを記念し、植樹が行われた。前回の1964年東京五輪の聖火台が川口の鋳物師鈴木文吾さんによって制作されたことを記念する「聖火台1号機」の近くに、市民代表らがソメイヨシノの若木を植えた。
コロナ禍のため、川口市内の五輪聖火リレーは中止されたが、参加予定だった文吾さんの弟で鋳物師の昭重さん(86)、女性の聖火ランナーでは県内最高齢の平林栄子さん(80)、市内で学童保育室を経営する内田剛史さん(41)ら3人が参加した。
聖火台前から第1走者として走る予定だった昭重さんは「リレーで走れずにがっかりだった。この桜には俺の代わりにいつまでも元気でいてほしい。100年でも、200年でも、生きてほしいね」と話した。
平林さんは本物のトーチを持って、自分が住む新郷地区の4小学校を回った。「『このトーチは東日本大震災で被災したもので作ったもので、悲しいこと、苦しいことがいっぱい詰まった大切なものなんだよ』って説明した。子どもたちは分かってくれた」
内田さんは並木小4年生の次女果凛さん、同1年生の次男凛和君と参加し「子どもたちが大きくなった時、このオリンピックとパラリンピックを思い出して、自分の街へ誇りを持ってほしい」と話した。
植樹式には市スポーツ協会の安達善一会長や加盟の団体代表ら25人、新藤義孝衆院議員、奥ノ木信夫川口市長らが出席した。
64年の聖火台は当初、文吾さんの父で鋳物師の万之助さんが引き受け、文吾さんと親子で制作に取り組んだが完成間近の事故のため失敗、万之助さんは失意のため寝込んだまま急逝し、文吾さんが兄弟らと協力して作り直した。一番下の弟で、当時木型職人だった昭重さんも手伝った。その失敗作がいま、同公園に聖火台1号機として展示されている。