<新型コロナ>自宅療養の男性死亡…安否確認2週間できなかった支援センターの実態 業務量が7倍超も
2021/09/03/00:00
新型コロナウイルスに感染し自宅療養していたさいたま市の60代男性が死亡した問題で、男性の健康観察を行っていた「県宿泊・自宅療養者支援センター」の受託会社の担当者は2日、取材に「想定をはるかに超える感染者数で業務が逼迫(ひっぱく)し、対応ができていなかった」「状態が悪化していく過程を非常に残念に思っているし、重く受け止めている」と述べた。
市によると、男性は8月11日に陽性と判明。保健所職員が12日午後、13日午前に電話をして軽症と判断し、13日午後にセンターに引き継いだ。自動電話や直接の電話に2週間にわたり応答がないまま、家族が27日に訪れて発覚した。25日に死亡したとされる。
同社担当者によると、センターは30回線で約50人の看護師らで対応。7月8日から業務開始し、同月下旬には業務が逼迫した。1日約千人に直接電話する健康観察を想定していたが、8月中旬には7倍を超える7500人に上り、症状の重い人も想定より多く、1日の電話が9千件を超えた。県と協議を重ね、重症者らを優先する対応に切り替え、県からの支援も受けたが、全ての業務に遅れが出たという。
発症日は8月3日と8日の記載があり、3日と認識して、引き継ぎを受けた13日で自宅療養終了と判断。一方、12日の時点で発熱があったことから、中等症の扱いともされ、別々の看護師が19、21、24日に直接電話したが、男性の応答はなかった。担当者は保健所につなげる必要があったと認識しているとしながら、「さまざまな業務が逼迫、遅滞していたことが大きな原因」と説明した。