埼玉新聞

 

<新型コロナ>陽性男性の搬送に10時間…89カ所目で搬送先が決定 さいたま市、特設救急隊を新設

  • 救急車には10リットルの酸素ボンベ2本(奥)を搭載、携行用の2リットルの酸素ボンベ(手前)を数本常備している=さいたま市浦和区の市消防局

 さいたま市は、新型コロナウイルスの感染急拡大を受けて、自宅療養中のコロナ患者を専門に緊急搬送する特設救急隊を新設した。コロナ以外の救急搬送全体への影響を抑えるため、8月18日と24日から計2隊の運用を開始。30日までに42件出動して43人のコロナ患者を搬送した。

 市消防局救急課によると、救急車は現在、30台が稼働。予備の11台を活用して、感染状況に応じて最大5台まで運用する。自宅療養中のコロナ患者で、入院先が決まった患者の救急搬送を中心に活動。自宅療養者からの119番を受けて出動した救急隊が、現場で2~3時間にわたり酸素吸引など対応が必要なケースもあり、交代して対応する。

 搬送先を見つけるまでに、医療機関への受け入れ照会が4回以上で、現場滞在時間が30分以上の場合、「救急搬送困難事案」と定義されている。同事案は感染が増加し始めた8月から増え始め、2~8日の週は72件でうちコロナ関連が8件。9~15日の週は73件でコロナ関連が10件。16~22日の週は114件でコロナ関連が21件。23~29日の週が90件でコロナ関連が7件だった。14日に自身で行ったPCR検査の簡易キットで陽性と判明した40代男性が119番したケースでは、約10時間、89カ所目で搬送先が決まった。

 出動できる救急車がゼロになった事案は発生していないが、8月第2週から厳しい運用を迫られているという。同課は「自宅療養者が増えており、特設救急隊を新設した。効率よく運用して、交通事故など他の救急事案にしっかり対応していく」としている。

 一方で、保健所の業務が逼迫(ひっぱく)していることから、市消防局は8月16日以降、保健所の要請を受けて自宅療養者の元に駆け付け、症状の確認などを行っている。保健所が入院か自宅療養の継続かを判断し、自宅療養の場合は搬送を行わない。8月23~29日の週では、出動1560件のうち267件がコロナ関連で、不搬送は速報値で161件だった。

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