地元高校生が「推し本」 市立図書館を拠点に読書活動を盛り上げ 埼玉・草加市 情報誌編集、絵本読み聞かせも 若年層の読書離れ解消したいと活動
若年層を中心に読書離れが懸念される中、草加市内の県立高校生が市内の読書活動を盛り上げている。生徒たちは市立中央図書館を拠点に、「推し本」コーナーの設置やYA(ヤングアダルト)向け情報誌の編集、絵本の読み聞かせボランティアに参加するなどして活動の幅を広げている。
高校生たちが図書館と関わるようになったきっかけは、昨年秋に始めた推し本コーナーの設置。中学・高校生の読書離れを解消したいと、図書館が高校側に働きかけたところ、市内にある県立草加、草加東、草加西、草加南高校が順番でコーナーを設置することになった。各校の図書委員がテーマを考え、生徒の「イチ推し」の厳選図書を紹介している。
7~9月を担当するのは県立草加南高校。手書きでお勧めポイントを記したかわいいポップでコーナーをキラキラ飾りつけて推し本を紹介する。図書委員長の浅井小蒔さんは「きちんと読んで、1冊ごとにポップを作った。イラストやキャッチコピーなどにも注目してほしい。ポップを見て、知らない本を手にしてもらえたらうれしい」としている。
高校生は中央図書館が発行するYA向け情報誌「Ya-Room.com」の編集にも参加。高校生の視点で感想を織り込み、推し本を紹介する。情報誌は図書館ホームページからダウンロードすることができる。
県立草加高校3年の吉田麻莉さん(17)は昨年、図書委員として推し本を紹介した。小さい頃から読書好きだった吉田さんは他校の図書委員と交流することができたことをきっかけに、今では幼児を対象に行われる絵本の読み聞かせボランティアに参加。高齢のメンバーに加わり、絵本を読む技術を学んでいる。
吉田さんは「子どもたちが大好き。読み聞かせを楽しそうに聞いてくれるのがうれしい。他のボランティアさんのように落ち着いてもっとゆっくり話せるようになれれば」と目を輝かせる。
市立中央図書館は1924(大正13)年の設立(当時は町立図書館)以来、今年で100周年を迎える。獨協大学前駅前に建つ中央図書館を拠点に公民館や文化センター、小学校などと連携して、1館体制で市民の読書ニーズに応えているとともに、普段は会議室やホールを学習スペースとして開放。週末や夏休みは受験生や勉強する小中学生、高校生であふれかえっている。
中央図書館の鈴木智美館長は高校生の活躍について、「私たち職員にはできない発想。とにかく感性が柔らかい。同じ世代が情報を発信することに意義がある」と本に向き合う若い世代が増えることを期待している。