埼玉新聞

 

<新型コロナ>妊婦のワクチン優先接種、さいたま市が開始 ファイザー製 助産師いて安心、予約まだ余裕

  • ワクチン接種を受ける妊婦(右から2人目)。同じブースでパートナーも接種を受けた=19日午前、さいたま市大宮区の市営桜木駐車場

 さいたま市は19日、妊婦らを優先対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種を市営桜木駐車場で始めた。この日は妊婦462人、妊婦とパートナー404人、パートナー181人の計1047人が接種を予約。妊婦への相談対応やケアをするため、助産師4人が会場に待機した。

 助産師が予診前などに不安を感じる妊婦らの相談を受けたほか、ベビーベッドや授乳室が用意された。使用ワクチンは米ファイザー製。同会場では1日に約2千回の接種が可能だが、予約枠を半分にして、余裕を持って予診や接種を行った。2人が同じブースで接種を受けられ、親子連れで訪れる人もいた。大きなトラブルはなかったという。

 千葉県柏市で8月、感染して自宅療養していた妊婦が自宅で出産し、赤ちゃんが死亡した問題が起きたことから、妊婦の感染リスクが指摘されていた。日本産婦人科学会がワクチン接種を推奨していることからも、さいたま市は妊婦らの優先接種枠を設けた。

 妊娠6カ月の伊藤恵美さん(39)と夫の啓介さん(34)は長男(5)と会場を訪れ、一緒に接種を受けた。2人ともさいたま市から都内の会社に勤務しており、在宅が中心ながら電車通勤による感染への不安があった。会社で職域接種が実施された時は、妊娠初期のため受けずに、恵美さんは「自治体の接種が始まったら受けたいと思っていた」と話す。

 啓介さんは柏の問題を念頭に「悲しい事件が起きたので危機感を覚えた」ため接種を検討。39歳未満の接種は予約開始直後に埋まっていたため、妊婦の優先接種を選択した。2人でインターネットなどで調べて接種の是非を話し合い、啓介さんは「受けないことの方がリスクは高いと判断した。安心できるのは2回目を終えてから」と話した。

 会場で対応した県助産師会さいたま市地区長の平野素尚さん(58)は「赤ちゃんへの影響を考えて、不安を感じている妊婦さんは多いと思う。助産師さんがいて安心できると言われた。パートナーと一緒に接種できるのも心強いのではないか」と指摘していた。

 市内には推計で約6400人の妊婦がいるとされ、9月26日にも妊婦らを対象に千回分の接種を実施する。予約にはまだ余裕があるという。市は妊婦のワクチン接種を実施している医療機関をホームページで公表している。

 問い合わせは、市コロナワクチンコールセンター(フリーダイヤル0120・201・178、ファクス0120・289・139)へ。

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