懲戒処分…市の土地を不正に売却、担当職員を免職 さいたま市 市長印を不正に使用して売買契約 土地返還代金と和解金は計約8880万円 職員への求償については「法務部門と相談して検討」
さいたま市は8月30日、市有地を不正に売却したとして、当時与野まちづくり事務所の所長補佐だった、市自転車まちづくり推進課の男性主幹(53)を地方公務員法に基づき、免職の懲戒処分にしたと発表した。当時の所長だった都市局の男性参事(57)を減給10分の1、6カ月の処分にするなど管理監督者4人も減給や戒告の懲戒処分にした。
市人事課などによると、男性主幹は、与野駅西口土地区画整理事業を巡り、相手企業に市有地を売却するため、財政局との事前協議が調わないまま、局長の決裁を経ずに、市長印を不正に使用して今年1月に売買契約を締結した。
市は6月に有印公文書偽造・同行使の疑いで男性主幹を浦和西署に刑事告発。捜査中のタイミングでの処分となった点について、市は調査検討会議と並行して、人事課でも本人と関係者7人にヒアリングを行った結果、処分に影響する新事実はなかったとし「刑事事件の結果を待つことなく、速やかに処分するのが適当と判断した」と説明した。
処分理由には法令違反などがあるが、執行部は決裁が必要だと認識しながら、決裁を受けずに市長印を使って契約書を作成した部分が最も非難に値するとした。市は土地返還代金と和解金計約8880万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を市議会9月定例会に提出する。男性主幹への求償については「法務部門と相談して検討していく」とした。男性主幹は「今後は慎重に物事を判断するように心がけ、出直したい」と反省の弁を述べているという。
清水勇人市長は「効果的な再発防止策を講じ、市民の皆さまの信頼を回復できるよう全力で取り組む」とのコメントを出した。
このほか免許失効状態で公用車を運転した見沼区役所の女性主事(31)を戒告、自転車に乗り歩行者にけがをさせるなどした南区役所の男性主事(24)を減給10分の1、3カ月、個人情報などが保存されている可能性があるCD-RWを紛失させた水道局の男性主査(42)を戒告のそれぞれ懲戒処分とした。いずれも30日付。