埼玉新聞

 

大宮でテークアウト専門店が新装 規格外の野菜譲り受けスムージーなどに加工 食品ロス減へ大学生が運営

  • 規格外野菜を使った専門店「やさいのあるくらし。」を運営する堺大輔さん(左)と北山紗帆さん=3日、さいたま市大宮区宮町

  • 若谷茂夫さん(右)から規格外の小松菜を譲り受ける堺大輔さん=9月29日、さいたま市緑区高畑

 食品ロスを減らそうと考えた大学生の運営するテークアウト専門店「やさいのあるくらし。」が3日、さいたま市大宮区でリニューアルオープンした。廃棄される規格外の野菜を地元農家から有償無償で譲り受け、スムージーやキッシュに加工して販売している。

 運営しているのは、日本大3年生の堺大輔さん(20)と東京家政大1年生の北山紗帆さん(19)=いずれもさいたま市=の2人。食品ロスに関心を持っていた2人がバイト先で知り合い、今年6月に開店。農作物の端境期の9月を休業して、今月再開した。

 堺さんは「何げなく消費している食べ物が廃棄されていることを多くの人に知ってもらいたい」と開業の理由を説明する。地産地消も意識して、市内の農家4軒を取引先として開拓。成長し過ぎたり、小さかったり、傷がついたりした小松菜、ジャガイモ、ナスなどを有償無償で譲り受け、調理して商品価値を付加して販売している。堺さんは「廃棄されていた野菜から新たな価値が生まれる。お客さんは購入して食べることで、社会課題の解決に貢献できる」と意義を語った。

 商品開発を担当する北山さんは、高校の授業で食品ロスを学んだ。農家が規格外として廃棄する野菜は、食品ロスの統計に含まれておらず、「おいしく食べられる食材が捨てられている。もったいないと思い、何かしたいと考えていた。お客さんに食品ロスを知ってもらいたい」と話す。

 同市の農業若谷茂夫さん(70)はこれまでに4~5回、規格外の小松菜を堺さんに無償で提供している。流通時のサイズが決まっているため、1~2割を廃棄しているという。「おいしさは変わらず、もったいないと思っていた。堺さんから連絡を受けて、素晴らしい取り組みと感心して、『いつでもいくらでも持っていっていいよ』と協力している」と話していた。

 メニューは、小松菜とバナナ、小松菜とマンゴーのスムージー(Sサイズ300円、Mサイズ350円)、小松菜などを使ったキッシュ(350円)、ナスなどを使ったカルツォーネ(350円)、有機ジャガイモのフライドポテト(150円)。

 店舗は大宮駅東口の大宮区宮町1の36、見留ビル1階。営業は毎週日曜日の午前11~午後5時。食材がなくなり次第終了する。

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