埼玉新聞

 

<埼玉で震度5強>大きな揺れ、深夜の街に 大震災思い出した…電車止まり帰宅困難、空になるコンビニの棚

  • 地震で電車が運転を見合わせ、タクシー乗り場で列を作る人たち=8日未明、浦和駅

 寝静まろうとしていた街を突然、大きな揺れが襲った。7日深夜、首都圏直下で起きた地震は、埼玉県内で震度5強を記録した。マンホールから水があふれて付近が水浸しになったり、電車が止まり乗客が帰宅困難に陥った。影響は翌8日朝にも及び、各路線の運行遅れに、通勤通学客は駅の外にまで長い列を作った。激しい揺れに、人々は10年前の東日本大震災を思い出した。

 地震発生から約1時間経過した7日午後11時45分ごろ、さいたま市浦和区のJR浦和駅では利用客が電車の運転再開を待った。駅には地震の発生で電車が停車し、多くの乗客が足止めに。改札前に赤い字で「大幅遅れ」と表示された時刻表を眺め、困惑した表情で立ち尽くす人もいれば、いら立ちから駅員とのトラブルになり、警察官が出動する一幕もあった。

 市内のJR与野駅周辺に住む50代の男性は、浦和駅の京浜東北線ホームで大宮行きの電車を待っていたところ、地震に遭った。「大きな横揺れだったと思う。ただ、ホームにいた乗客は特にパニックになることなかった」と振り返った。改札を出て様子をうかがっていたが、運転再開のめどは立たず、「ここから歩いて帰るわけにもいかない。明日も仕事なのに」と肩を落とした。

 翌8日午前1時すぎには、タクシーを待つ人の列が東、西口合わせて100人近くまでに上った。北浦和駅を拠点にしている個人タクシーの運転手は「地震が発生してから、少しも休まずに稼働しているが乗客が減る気配がない。この道40年になるが、ここまで乗客が並んでいることはめったに見ない。2011年の東日本大震災の時を思い出した」と語った。

 駅周辺のコンビニエンスストアには地震発生直後から多くの人が来店。店員は「ほとんどの人がサンドイッチやおにぎりと飲み物を買っていく」と話し、一部の棚は空になっていた。地震によって商品棚が倒れるなどの被害は起きなかったという。

 帰宅困難者の受け皿となるはずの宿泊施設にも影響が出た。ロイヤルパインズホテル浦和では、地震の衝撃で計6基のエレベーターが止まった。いずれも人は乗ってなかったが、復旧に時間がかかることから宿泊予約の受付を一時取りやめたという。その間にも複数の問い合わせがあった。

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