埼玉新聞

 

<埼玉で震度5強>JR川口駅で入場規制 東口では繁華街にまで行列 再開待つ利用客「密でコロナも怖い」

  • 駅構外の歩道デッキにまで延びた通勤通学客の入場列=8日午前9時半ごろ、JR川口駅

 寝静まろうとしていた街を突然、大きな揺れが襲った。7日深夜、首都圏直下で起きた地震は、埼玉県内で震度5強を記録した。マンホールから水があふれて付近が水浸しになったり、電車が止まり乗客が帰宅困難に陥った。影響は翌8日朝にも及び、各路線の運行遅れに、通勤通学客は駅の外にまで長い列を作った。激しい揺れに、人々は10年前の東日本大震災を思い出した。

 県内で最も大きい震度5強の揺れを観測した川口市のJR川口駅では8日早朝から、ホームに人があふれるのを防ぐため入場規制を行い、改札前から駅構外の歩行デッキにまで数百メートルの列ができた。

 駅員によると、地震の影響で電車が遅れているため、この日はいつもより早く出勤する人の姿が見受けられたという。京浜東北線の大幅な遅れにより、通勤時間のピークを迎える午前7時前から入場規制を実施。ホームが空くと断続的に利用客を改札内へ入れたが、午前9時ごろには列が東西歩行デッキにまで延び、東口では飲食店が立ち並ぶ繁華街にまで達した。駅利用客は強い日差しの下、日傘を差しながら再開を待った。

 駅構内のアナウンスでは、バスで埼玉高速鉄道線の川口元郷駅へ振り替え輸送を呼び掛け、遅延証明書を配る駅員の前にも人が押し寄せた。電光掲示板でダイヤの遅れを確認し、電車を諦めてタクシーやバス乗り場へ向かう人もいた。

 午前10時前に入場規制が一時解除されると、待ちわびた利用客は安どの表情を浮かべ、足早にホームへ向かった。

 同市中青木のマンション9階に住む70代女性は「食器棚も倒れ、東日本大震災以来の揺れを感じた」と心配そうな表情。今朝もまだエレベーターが動かず、階段を利用して出勤し、「帰宅したら自宅の片付けをやらないと」と話した。

 さいたま市内の学校に通う女子高校生3人は午前8時前に駅を訪れたが、あまりの混雑に並ぶのを諦め、再開を待った。3人とも「昨夜は立っていられないくらいの揺れだった。このままだと今日は学校に着くのが何時になるか分からないし、帰宅時には電車が無事に動いているのか」と心配した。

 東京都荒川区の70代男性は「電車に乗れても、すし詰め状態。密でコロナも怖いし、気長に待つしかない」と話していた。

 越谷市のJR武蔵野線南越谷駅では、午前10時ごろ、通勤ラッシュの波が去った後も、改札外で立ち往生する通学途中の高校生らの姿が多く見られた。女子生徒は「改札内は人が多過ぎて入るのが怖い。2時間以上待っているけど、もう少し待ってから行こうと思う」と少し疲れた様子で話していた。

 改札口では、駅員が進行方向を区切るためロープを張り、遅延証明書を配布するなど対応に追われた。

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