埼玉新聞

 

収穫目前「野鳥に食べられ火が付いた」 設計と兼業の菊池さん手がけるブルーベリー人気 埼玉・入間市のふるさと納税の返礼品 コストコ除外も寄付額は増える 航空祭向けの駐車場の利用券も

  • 実ったブルーベリーを手に取る菊池理達さん=2日、入間市宮寺

    実ったブルーベリーを手に取る菊池理達さん=2日、入間市宮寺

  • 実ったブルーベリーを手に取る菊池理達さん=2日、入間市宮寺

 入間市のブルーベリー園「菊池企画」が、ふるさと納税の返礼品として人気を集めている。約60種のブルーベリーを計700坪(約2300平方メートル)の農園で無農薬栽培。電子機器に使われるプリント基板の設計者、菊池理達さん(68)が二足のわらじで、妻の文子さん(68)と共に愛情を込めて育てている。

 菊池企画は三つの小さな園でブルーベリーの摘み取り販売を行う。入間市のふるさと納税の返礼品として、1万円の寄付で1箱1・6キロの自然栽培されたブルーベリーが楽しめる。6~9月の旬のおいしさを味わう生ブルーベリーの注文が多いが、ジャム作りに適した冷凍品も人気。2023年は返礼品として約700件の注文があり、今年は入間市の返礼品の中でも最も注文が多い。

 2000年、ホームセンターで手に取ったのが「目に良い」というブルーベリーの苗木だった。目の病気を患う文子さんを思い、2本の苗を購入。6粒ほどが実り、「明日収穫できそうだ」と楽しみにしていた翌朝、実は全て野鳥に食べられてしまっていた。「そこから火が付いた」菊池さん。設計者として独立していたが、ブルーベリー農園との兼業を決め、現在は売り上げの8割がブルーベリーだという。

 農園を始めた当初は「周りからは『農業なんて…』と言われた」と振り返る。それでも「(設計の仕事は)納期に追われ、細かい作業でストレスも多い。自然を相手にするのが合っている」と晴れやかだ。出荷作業に追われながらも、リピーターのために摘み取り販売を続ける。合わせて子ども食堂にブルーベリーを届け、利用者を摘み取り体験に招待するなど、地域貢献にも積極的だ。

 ふるさと納税の返礼品に登録したのは「40年住んでいる入間市に恩返しができれば」という思いから。茨城県に生まれ、結婚を機に同市に居を構えた。「子育てしやすいし、田舎の自然も思い出す。(設計の仕事で)都内での打ち合わせから帰ってくるとほっとする場所。この街でつらく悲しんでいる人がいないことが願い」と入間への愛を語った。

 「入間ブルーベリー園 菊池企画」入間市扇町屋4の2の29(電話04・2965・1557)

■コストコ除外も寄付額増

 入間市のふるさと納税の返礼品は会員制スーパー「コストコ」の年会費無料クーポンが人気で、2022年度の寄付額の約7割を占めた。しかし指定基準の見直しにより23年10月以降は対象から除外。22年度のポータルサイトを通じた寄付額(返礼品あり)は1億244万8千円で、うちコストコが7032万8千円だった。

 一方で、23年度の寄付額は1億4681万6千円とコストコの除外後も増加している。入間市企画課によると、ポータルサイトや返礼品の数を増やし、一部高額品の注文もあったことが要因という。現在返礼品を扱うのは81事業者(8月末時点)。地域の魅力を知ってもらおうと、航空自衛隊入間基地で11月に行われる「入間航空祭」にあわせ、特設駐車場利用券も取り扱い始めた。担当者は「今後も新たな返礼品を開拓していきたい」と話している。

 近隣の所沢市では17年度から辞めていたふるさと納税の返礼品を11月に再開する。16年度に409件3699万2256円あった寄付は、23年度に54件1714万2233円に減少しており、返礼品再開への期待が高まっている。

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