埼玉新聞

 

英検1級に13歳で合格 大宮・栄東中2年生の白川さん 「英語は趣味」楽しく上達 将来は英語に関わる仕事に

  • 英検1級の合格証書を手に、笑顔を見せる白川怜さん=さいたま市大宮区

    英検1級の合格証書を手に、笑顔を見せる白川怜さん=さいたま市大宮区

  • 英検1級の合格証書を手に、笑顔を見せる白川怜さん=さいたま市大宮区

 大学上級程度の英語力が必要とされる実用英語技能検定(英検)1級に、私立栄東中学校2年の白川怜さん(14)=さいたま市大宮区=が7月、13歳で合格した。「英語を楽しむことは趣味。楽しくて仕方ない」。白川さんは帰国子女ではないが1級合格へ特化した勉強はせずに、日々の授業や生活の中で英語に親しみ、自然と上達した。一発で最難関を突破したことに日本英語検定協会の担当者は「本当に素晴らしいと思います。英検1級は日常会話だけではなく、社会的背景も理解していないと合格できないので、相当努力されたのでは」と目を丸くしていた。

 ◆磨かれる感性

 白川さんは小学5年の11月に大学中級程度とされる準1級に合格。同6年までは英会話教室「ABCキッズイングリッシュ」(同区吉敷町)に週1回通っていた。栄東中入学後は、帰国子女や選抜された生徒が英語を学ぶ“国際クラス”で週7回の授業を受け、大きく成長した。

 授業内容は、文法や英語文学を学ぶ日もあれば、ディスカッションする日があるなどさまざまだが「ネーティブの先生と話すことは楽しくて、自然と英語力がついた」と白川さん。クラス担当を含め学校に5人いる外国人の先生と職員室で話をしたり、学校帰りの道や電車の中でも会話を楽しんでいるという。「英語は『ですよね?』のような敬語がないので、堅苦しさがない。フレンドリーに話せる」と目を輝かせる。

 普段の生活ではiPadで英語のユーチューブ動画を頻繁に見ているという。種類はゲーム実況や映画、おもしろ動画など多岐にわたる。家族で旅行に行った際はラーメン店で隣りの席で食べていた外国人にラーメンの特徴を解説した。唯一、英検1級合格のために特別行ったことは単語の勉強。準1級合格後に過去問を見たら「難し過ぎて全く分からなかった」ため単語帳を買って、コツコツ学んだという。ただ、ここでも語源に注目して覚えるなど、楽しむことを忘れなかった。

 ◆プレゼン得意

 英検1級は1次試験が筆記(リーディング、ライティング)とリスニング、2次試験がスピーキング(英語の面接)。日本英語検定協会によると、読む、聞く、話す、書くの4技能をバランス良く身に付けることが必須で、2次試験はその場でトピックが与えられて1分で考え、2分間スピーチし、その後、関連質問に答えていく形式だ。社会性の高い幅広い分野の話題が題材で、過去には「世界経済における日本の役割」「遺伝子組み換え食品の安全性」など。大人が日本語で答えるのも難しい。

 白川さんは校内の英語弁論大会で最優秀賞に輝いたほど大のプレゼン好きで、2次試験のスピーキングが得意。それだけに、1次試験を通過した時の喜びが特に大きかったという。「あの緊張や感覚は一生忘れない」。一方で2次発表時は意外にも冷静だった。自身の番号をパソコンに入力すると、“合格”の2文字。14歳の誕生日数日前の吉報に、「ほっとした部分が大きかった」と胸をなで下ろした。

 ◆純粋な気持ち

 白川さんは4歳で英会話教室に通い始めた頃、初めて外国人の先生を見て「イケていて、仲良くしたいと思った記憶がある」。そして、今でも変わらず根底にあるのは「英語が楽しい」という純粋な思いだ。将来就きたい職業は、まだ決まってないが「英語に関わる仕事がしたい」と力を込める。白川さんにとって、“英語”とはどのような存在なのか。「コミュニケーションツールでもあり、趣味」。にっこりと笑って答えた。

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