<新型コロナ>ようやく…確認証受け笑顔で居酒屋に 接種確認、上尾で実証実験開始 解除控え店に賛否
県などは22日、新型コロナウイルスワクチン接種証明書などを活用した酒類提供に関する実証実験「ワクチン・検査パッケージ」を開始した。JR上尾駅周辺の飲食店42店舗が参加し、31日までの10日間実施。利用客へのアンケートなどを基にデータを集め、感染防止と経済活動を両立させる施策に役立てる。一方、参加を見送った店舗からは25日の各種制限解除を控えて「利点を感じづらい」との声も聞かれた。
「接種証の提示をお願いします」。JR上尾駅改札外の自由通路では午後5時ごろ、県の職員らがワクチン接種証などの確認をしていた。参加店舗の作業負担を軽減するため、利用客の接種証を事前確認するブースを設置。手続きを終え、確認証を受け取った男性は久しぶりに友人と居酒屋に行くと言い「ようやく気軽にお酒を楽しめそう」と笑顔で話した。
利用客は、ワクチン接種証明書や入店3日前以内のPCR検査、1日前以内の抗原検査の通知書証明書を参加店舗に提示することで、飲食店に要請されている営業時間や酒類提供時間、人数などの制限を受けないほか、代金割引などの特典も得られる。
店舗側には接種証明書などの提示有無による利用客のエリア分けや、アンケートの実施が求められ、協力金として1日当たり3万円の協力金が支払われる。
東口に店を構える「北の国バル上尾店」では、店内全56席のうち、左側16席を接種証を提示した利用客のエリアとし、午後11時まで酒類販売を実施。店長の川瀬公男さんは「お客さんには迷惑を掛けるかもしれないが、店として対応できることを考えて協力したい」と話した。
ただ、参加を見送った店舗もある。事前の説明会には合計で約90店舗の関係者が訪れたが、実際に応募したのは約半数の42店舗。見送った店舗からは「客によって対応を変えることが苦しい」「利便性が損なわれてしまう」などの声も。
実証実験は25日の各種制限解除に先立って行われているが、同日以降は参加店舗でも、そうでない店舗でも同条件での営業となる。駅周辺の別の居酒屋店主は「実証実験に参加することで負担になり、客足が遠のく可能性もある。利点を感じづらい」と話した。
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この日は午後7時から大野元裕知事と上尾市の畠山稔市長が上尾駅を訪れ、同駅の事前確認ブースや参加店舗の取り組み状況を視察した。