【ぷらっとTOKYO】川べりの街の神社や商店街 大田区の六郷土手駅周辺
東京と神奈川の境を流れる多摩川に近い京急線六郷土手駅周辺(東京都大田区)。街を貫くように走る第1京浜はかつての東海道を拡張して造られた。いまも川崎市側との往来が盛んな地で川べりを散策し、神社や下町情緒あふれる商店街、珍しい公園を訪ねた。
六郷土手駅から南に10分ほど歩き六郷橋へ。箱根駅伝のコース(1区と10区)でもおなじみのスポットだ。徳川家康が架設した六郷大橋が1688年の洪水で流失して以降、六郷―川崎間は渡船「六郷の渡し」が180年余り利用された。現在の橋に設置された渡し船のオブジェが昔の風景を思い起こさせる。
第1京浜を北上し、住宅地にある六郷神社を訪ねた。鳥居の前では源頼朝の側近、梶原景時が寄進したと伝わる太鼓橋が目を引く。六郷一円の総鎮守で多摩川の守り神でもある神社は、平安時代後期の創建とされる。
レトロでにぎわいのある商店街があると聞き「雑色商店街」へ向かった。京急線雑色駅周辺に生花店や八百屋など約200店が広がる。「肉のミゾグチ」では、ジューシーな味わいが評判のメンチカツが多い日に300個以上売れるという。3代目店主溝口武さんは「登下校中の小学生が店の前を通るたび『行ってきます』『ただいま』とあいさつしてくれる。人の心が温かい」と街の魅力を話す。焼き鳥店「竹沢商店」には、一番人気の焼きとん「カシラ」を目当てに行列ができていた。
JR東海道線、京浜東北線の踏切を越え、西六郷公園(通称タイヤ公園)へ。「大怪獣」と呼ばれる古タイヤで組み立てられたモニュメントが目に飛び込む。区によると、高さは約8メートルある。遊具などに使われた古タイヤは約3千本。1969年の開園当初、米国の新聞で取り上げられ、オーストラリアから同様の公園を造ってよいかという問い合わせがあったそうだ。
【メモ】六郷神社の境内には明治期に架けられていた木製の旧六郷橋の親柱が保存されている。