埼玉新聞

 

<私の名著・村田綾さん>接骨院に並んでいた「大切な一冊」、本は無限の「出会い」を与えてくれるもの

  • 村田綾さん

 読書週間(10月27日~11月9日)初日の10月27日は「文字・活字文化の日」。10月27日付埼玉新聞では「私の名著~心に残る一冊&フレーズ~」と題して、地元埼玉の経済、教育、文化、スポーツなど、さまざまなジャンルの人たちから、人生の支えや力となった、その人にとっての名著を紹介し、本との出会いや読書の素晴らしさを伝えています。

 私は小学生の頃、国語の授業で教科書の音読をする時間がとても好きでした。教科書だけでは物足りず、放課後に図書室に行きズラリと並ぶ本を前に、その時の自分がビビっときた表紙やタイトルを手に取る。今でもその習慣は変わらず、本屋を見つけると立ち寄り、その時にパッと目に入ってきた書籍を購入して読み漁っています。

 後から本棚を見返すと、恋愛小説、ミステリー、自己啓発、スキルアップとジャンルは様々ですが、特に何度も読み返し大切にし続けているのは、さくらももこさんの「もものかんづめ」。この本に出会ったのは学生時代に頻繁に通っていた接骨院でのこと。待合室には沢山の漫画が並べられていて「もものかんづめ」は数少ない文庫本の一つでした。

 話は著者が学生時代に水虫になったところから始まります。誰にでも起こりそうな何気ない日常を描いたストーリーは、まるで誰かの日記帳を読んでいるかのよう。文章から登場人物の実際の姿を想像するとクスクスと笑え、その先の未来さえも気になってしまうような魔法のエッセイ。私はその頃から他人の生き方や考え方って面白いと、強く興味を持つようになりました。本の中にはそれが無限に存在するというわけです。

 20代後半に差し掛かった頃、尊敬している恩師に原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」を勧めて頂きました。ごく平凡な毎日を送るOLが、結婚式でのスピーチとの出会いで変わっていくというもの。スピーチをする時の極意を物語で教えてくれるこの作品は、司会業の仕事をしている私にとって大きな変化をもたらした1冊となりました。

 誰かの人生、誰かの考え方、なかなか出会う事が出来ない人の話をここぞと言うタイミングで知り、また自分なりに想像する事が出来て影響を受ける。書籍は多くの出会いを運んでくれ人生を豊かにしてくれる存在だと私は感じています。

 これからも書籍を通して、皆様にも沢山の出会いが訪れますように。

■私のおすすめBEST3

1.「もものかんづめ」さくらももこ著

2.「本日は、お日柄もよく」原田マハ著

3.「夢をかなえるゾウ」水野敬也著

■村田綾(むらた・あや)

 俳優・タレント・MC。1987年11月9日生まれ。埼玉県さいたま市出身。「さいたま観光大使」「長瀞観光アンバサダー」「恋たまキューピッド」を務める。近年では、映画・CM・ラジオで活躍するほか、埼玉の魅力を発信している。

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