埼玉新聞

 

アニサキスを気にせず生食を! 海なし県・埼玉に「温泉サバ陸上養殖場」オープン 1年後に埼玉産サバが

  • サバの稚魚に餌やりをする関係者たち=26日、神川町おふろcafe白寿の湯内の温泉サバ陸上養殖場

 「海なし県で新鮮なサバを提供します」。神川町のおふろcafe白寿の湯に「温泉サバ陸上養殖場」がオープンした。同施設で育った稚魚が成魚になる約1年後には、新鮮なサバを生食で食べることもできそうだという。

 人工海水を使用し、養殖ビジネスを多角的に展開する「ジャパン・マリンポニックス」の協力で、閉鎖循環型陸上養殖システムを導入してサバを養殖する同施設。来場者には、釣りや餌やりのレジャー体験を、自治体や企業には視察の受け入れなどのサービスの展開を予定するほか、白寿の湯のレストランなどでは、養殖サバを使った料理が提供される。

 当面は他県の海で育った成魚がレジャー体験などで使用されることとなるが、施設内では人工ふ化で生まれた約3千尾の稚魚も育てているため、約1年後には神川町で育ったサバの成魚が見られる予定だという。この3千尾は、さば料理専門店の「フィッシュ・バイオテック」が、民間で初めて成功した「マサバ遅延採卵」で今年9月に生まれてきた稚魚。同社最高経営責任者(CEO)の右田孝宣氏は「(海で育ったサバ)は、寄生虫アニサキスの寄生の影響を考えなくてはならず生食での提供は難しいが、ここで育つサバはアニサキスを気にせずに、生食が食べられるようになる」と期待を寄せる。

 お披露目会が行われた26日、温泉道場の山崎寿樹社長は「私たちはお風呂をメディアに衣食住の文化を発信していきたいと思っている。海なし県埼玉でおいしいサバを多くの方に食べていただきたい」とあいさつ。神川町の山崎正弘町長は「地域産業の活性化につながることを期待している」と語っていた。

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