埼玉新聞

 

森田剛&間宮祥太朗インタビュー、初共演で相性抜群!舞台「台風23号」

  •  舞台「台風23号」でダブル主演を務める森田剛(右)と間宮祥太朗

     舞台「台風23号」でダブル主演を務める森田剛(右)と間宮祥太朗

  •  森田剛。「みんな何かしら背負ったり隠したりして生きている。そこを生々しく演じたい」

     森田剛。「みんな何かしら背負ったり隠したりして生きている。そこを生々しく演じたい」

  •  間宮祥太朗。「観劇後、心の中に引きずるものがすごく強い作品になると思う」

     間宮祥太朗。「観劇後、心の中に引きずるものがすごく強い作品になると思う」

  •  森田剛(右)と間宮祥太朗

     森田剛(右)と間宮祥太朗

  •  舞台「台風23号」でダブル主演を務める森田剛(右)と間宮祥太朗
  •  森田剛。「みんな何かしら背負ったり隠したりして生きている。そこを生々しく演じたい」
  •  間宮祥太朗。「観劇後、心の中に引きずるものがすごく強い作品になると思う」
  •  森田剛(右)と間宮祥太朗

 俳優の森田剛と間宮祥太朗が、10、11月に上演される舞台「台風23号」でダブル主演を務める。巨大台風の上陸が迫る海沿いの町で、一癖も二癖もある登場人物が繰り広げる濃密な人間ドラマ。独特の世界観とリアルな人物描写に定評のある赤堀雅秋が作・演出・出演の3役を担う。

 森田と間宮は今回が初共演だが、共に赤堀作品の大ファン。稽古場でも互いに信頼感を持ってせりふをやり取りしているという。さらに私生活でも相性の良さを実感する出来事があったようで―。

 (1)全ての役が「赤堀さん自身」

 記者 台本を読んで、どんなところに魅力を感じましたか。

 森田 すごくリアルな日常が描かれています。もちろん日常ではここまでの密度にはならないけど、いろんなところで「こういうことあるよな」って出来事や人物が舞台上に凝縮されてる。

 間宮 限定的な場所、ミニマムな人間関係の中で、日常に潜む「ひずみ」みたいなものが現れてますよね。一見たわいもない会話の裏に、それぞれの抱えてるものがにじみ出てくる感じ。

 記者 森田さんが演じるのは宅配便の配達員。すごく忙しそう、ということ以外は台本上、ほとんど何も描かれていませんが、どのように役作りをしていますか?

 森田 その、描かれてない部分を考えるのが面白い。みんな何かしら背負ったり隠したりして生きてるから、そこを生々しくしたいです。

 記者 参考にした人やキャラクターはいますか?

 森田 というか…全ての役が赤堀さん自身なんですよ(笑)。僕もちっちゃい赤堀さんを目指してます。

 記者 間宮さんの役も、介護ヘルパーであること以外は謎だらけです。

 間宮 そこにリアリティーを感じます。普段、人と接する時も、その人の一部しか見えてないことが多いじゃないですか。あえて作品側からバックボーンの説明をしないことで、見る人の想像が広がると思います。

 (2)間宮、森田に弟子入り希望?

 記者 役とご自身を比較して、重なる部分はありますか。

 森田 自分と重ねることはあんまりないんですけど、演じる過程で自分の中にある感情とかは自然に入ってると思う。それをどれだけ表に見せるかって塩梅は赤堀さんの中にあるので、今はそこに近づきたいと思ってます。

 間宮 赤堀さんから「台本は『当て書き』っていうほどではないけど、その人の感触を捉えて役に落とし込みたい」と言われたので、僕自身がどうこうといより「赤堀さんにどう見えてるか」が役に反映されてるのかなと。

 記者 お二人は今回が初共演です。お互いの印象や、稽古場での相性は。

 森田 信頼できる役者です。うまいなって思うし、一緒に面白いものを作れそうな気がする。

 間宮 よかったです。以前、一緒に取材を受けたときに、趣味とか芝居に対するスタンスとかをお互い話して「気が合うね」って結論になったんですけど、いざ稽古やってみて「違うな」って思われてたら気まずいので、一安心してます(笑)。

 記者 お話していても、お二人の息がすごく合っている感じがします。

 間宮 稽古以外の時間は趣味の話が多くて、勝手に(趣味の上での)師匠だと思ってるんですけど、稽古に入ると信頼感と安心感と、そこに共存して適度な緊張感と怖さがある。せりふをやり取りするのがすごくいい時間です。

 記者 趣味も同じなんですね。

 森田 見事にね。植物とかメダカとか、あとはコーヒーも。

 (3)「普通」って何だろう

 記者 稽古場での赤堀さんの言葉で、印象に残っているものは。

 森田 俺はとにかく「普通に」って言われるんですけど、「普通」って何だろう…って。

 記者 舞台の場合、本当に「普通」にやったら声が届かないですしね。

 間宮 「最初は声、届けなくていい」って言われました。大きくするのは後でいいからって。

 森田 あと「動かないで」もよく言われます。

 間宮 僕は「舞台の空気にのまれないように」です。舞台の上でみんなでしゃべってると、何となく会話の流れができてくるんですけど、そこに合わせるというか「のまれてしまわないように」って。そう言われて意識してやると、妙に納得がいくことも多い。ただ…赤堀さんが実際やってみせてくれるときがあって、その芝居がうまいのはやめてほしいです(笑)。いや、ありがたいんですけど。

 記者 お二人とも赤堀作品には以前から出演を希望されていたと聞きます。好きな作品や、赤堀作品のここが良い、というポイントを教えてください。

 森田 特定の作品というより、赤堀さんの書く、面倒くさい人がいっぱい出てくる世界が好きです。今って、あえて他人と関わろうとしない人が多いじゃないですか。でも、赤堀さんの世界の人たちはみんなお互い関わって、そこで傷ついて、でも新しい発見もあって…。そういうのを見ると「人間っていいな」って心が動くし、そこにはちゃんと愛があって、だから自分にも自信が持てる。そういう不思議な体験ができるんです。

 間宮 僕は「葛城事件」の舞台です。まだそこまで舞台を見ていない頃で、会場は(東京・下北沢の劇場)ザ・スズナリ。あの小さい空間で窒息しそうなほどの重たい空気と、逃げ場のない感じを全身全霊で浴びたことが、強烈な観劇体験として残っています。

 (4)台風の日にすることは?

 記者 もしも台風で丸1日、外に出られなくなったら、自宅で何をして過ごしますか。

 森田 何もしないですね。じっとしてる。

 間宮 台風関係なく何もしないんです、僕ら。

 森田 声すら出してない日あるもん(笑)。

 記者 音楽を聞いたり、動画を見たりも?

 森田 しないな…雨が窓ガラスに当たる音聴いて、たまに外見るくらい。

 間宮 その間ずっとコーヒー飲んでるんじゃないですか、多分(笑)。

 記者 間宮さんは?

 間宮 僕は…そうですね、昼過ぎぐらいに起きて、ご飯作って食べて、コーヒー飲んで。

 森田 昼ご飯の前にも一発コーヒーあるんじゃない?

 間宮 そうか(笑)。コーヒー、ご飯、コーヒーで、食後はちょっとだらだらして、見たい映画あったら見て、後は台風でもドーム球場なら野球やってると思うから、夕方からは野球見ます。

 森田 めっちゃ充実してるじゃん!

 記者 ありがとうございました。改めて舞台の見どころを。

 間宮 見る人それぞれが、自分や身近な人のどこかに、登場人物と同じ何かを感じ取ってもらえる。それくらい会話や人物造形の解像度が高いです。観劇後「あのシーンがよかった!」ってスッキリする感じではなく、心の中に引きずるものがすごく強い作品になると思っています。

 森田 とにかくせりふが面白い。「こういう人いるよね、気持ちわかる」という感じで楽しんでもらえたら。それで結局、人間独りでは生きていけないから、人と関わりを持たなきゃいけない、そういう覚悟持って生きてみようって思ってくれたらいいなと思います。

 もりた・ごう 1979年、埼玉県生まれ。近年の主な出演作に舞台「ロスメルスホルム」、映画「劇場版 アナウンサーたちの戦争」など。

 まみや・しょうたろう 1993年、神奈川県生まれ。主な出演作にドラマ「ACMA:GAME アクマゲーム」、映画「変な家」など。

 ☆舞台「台風23号」は10月5~27日東京・THEATER MILANO―Za、11月1~4日大阪・森ノ宮ピロティホール、8~9日愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLATで上演予定

(取材・文=共同通信 高田麻美 撮影=佐藤まりえ)

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