<私の名著・碓氷浩敬さん>読書から明日を生きるエッセンスを、会社に気付きを与えた「出会い」とは
読書週間(10月27日~11月9日)初日の10月27日は「文字・活字文化の日」。10月27日付埼玉新聞では「私の名著~心に残る一冊&フレーズ~」と題して、地元埼玉県の経済、教育、文化、スポーツなど、さまざまなジャンルの人たちから、人生の支えや力となった、その人にとっての名著を紹介し、本との出会いや読書の素晴らしさを伝えています。
人生や経営のヒントになるような苦労話や成功体験が書かれた作品をよく読みます。社長という立場から、時に自分と重ね合わせて、明日を生きるためのエッセンスを探したりします。読了後に、仕事を頑張ろうといった上昇志向を得られるのが醍醐味。特に紙媒体の書籍は、画面の文字からは伝わらない「重み」があるような気がします。
「南東北グループの挑戦」は、著者の渡邉一夫氏の生き様に感銘を受けました。ご縁があり年に一度お会いするのですが、「すべては患者様のために」「医者の前に人であれ」と、人間味に溢れた言葉の数々は心にグッときます。「自分たちにいま出来ることは何か」という思いで、2011年に民間救急事業を設立。現在は新型コロナの陽性者患者の搬送業務など、事業は違いますが渡邉一夫理事長の情熱は、会社の方針に大きな気付きを与えてくれました。
これまで読んだ本の中で唯一、赤線を引きながら読み進めたのが「琉球ゴールデンキングスの奇跡」。約7年前に知人の紹介で何気なく手に取った一冊でしたが、クラブ経営やファン獲得施策など事業への創意工夫や意気込みは、会社組織にも通じるものがありました。競争社会の中で生き残るためには、何気ない声掛けや結束力が大切で、団体競技から学ぶことも多いです。会社として地域のスポーツチームを応援することにもつながっています。
出光興産創業者の出光佐三氏をモデルにした「海賊とよばれた男」は、自分がいま置かれている環境とリンクしながら読みました。主人公・国岡鐡造の熱い人柄と破天荒な生き様には魅了されました。コロナ禍で観光バス需要が激減する中、もう一つの軸として育ててきた民間救急事業が、新型コロナで苦しむ患者の一助として機能しはじめています。業界では「異端児」という部分もありますが、競争していく以上は独自性が必要不可欠です。
今後も世の中の役に立ち、誰かのために動ける会社でありたいと考えています。
■私のおすすめBEST3
1.「渡邉一夫のロマンと命をかけた半生 南東北グループの挑戦 理想の医療を追求する病院づくり」渡邉一夫著
2.「琉球ゴールデンキングスの奇跡」木村達郎著
3.「海賊とよばれた男(上)(下)」百田尚樹著
■碓氷浩敬(うすい・ひろたか)
株式会社スター交通代表取締役。2011年、群馬県邑楽郡大泉町に株式会社スター交通を設立。貸切バス事業をメーンに、東日本大震災を機に民間救急事業へ業容を拡大した。現在は新型コロナ陽性患者の搬送業務なども担う。