新型コロナウイルス禍で初となった衆院選が31日投開票された。10月4日の岸田内閣の発足から14日に解散、19日の公示と目まぐるしかった短期決戦は、安倍・菅政権から続いた「自民1強」への批判、不満が噴出した。埼玉県内の小選挙区も、自民党が世論の逆風を受ける形となり、各地で苦戦を強いられた。野党は選挙区で候補者を絞る「共闘」で臨み、一部で実を結んだ。

■党首の枝野氏10選／5区

　立民代表で前職の枝野幸男氏が自民前職の牧原秀樹氏との6度目の対決を振り切り、10選を果たした。

　さいたま市大宮区の選挙事務所は当選確実の一報が入ると、支援者らの大きな拍手に包まれた。枝野氏は事務所に現れず、永田町の党本部で他候補者の開票状況を見守った。妻の和子さんは支持者の前で「初心を貫き頑張ってきたので、この思いが地元の人に届いてうれしい」と話した。

　公示後は党の顔として全国各地で応援演説を行ったため、枝野氏の自身の選挙区入りは2回に限られた。アベノミクスや政府のコロナ経済対策を批判し、「困っている人の誰もが恩恵を受けられる支え合いの社会を」と訴えた。選挙期間中は会員制交流サイト（SNS）で5区の有権者へメッセージを送った。最終日の30日夜は大宮駅東口で「政治を変えるのはあなた。日本を変えよう」と新しい政治への転換を力強く訴えた。

　自民牧原氏は初の小選挙区勝利を目指して、どぶ板の選挙戦を展開。安倍晋三元首相、菅義偉前首相や小泉進次郎前環境相らが応援に入り、追い上げたが及ばなかった。