埼玉新聞

 

知人殺害…橋から川へ落とし、男に懲役16年求刑 弁護側「酔って橋の認識なく、男から逃げて落ちたかも」

  • 男が男性を転落させたとみられる武蔵大橋と橋の下を流れる利根川=2020年11月4日午後5時ごろ、行田市

 昨年8月、行田市の橋から知人男性を転落させて殺害したとして、殺人の罪に問われた、熊谷市円光、無職の男(52)の裁判員裁判の論告求刑公判が1日、さいたま地裁(中桐圭一裁判長)で開かれた。検察側は懲役16年を求刑。弁護側は傷害致死罪にとどまるとして懲役4年を主張し、結審した。判決は11日に言い渡される。

 検察側は論告で、男性の体格から橋の欄干側に背中を向けた状態で川に落ちるには第三者の関与が必要と説明。被告が男性の足が地面から離れて体の重心を欄干の川側に出るように持ち上げ、転落させたことは明らかとして、「人を死亡させる危険性が高い行為を行った。犯行態様は極めて悪質」と述べた。

 弁護側は、男性が相当の酩酊(めいてい)状態で、橋の上にいることを認識ができていたかについては疑問が残るとし、「(男の)暴行から逃げようとして転落していた可能性は否定できない」と殺人罪は成立しないと強調した。

 起訴状などによると、男は昨年8月14日午前1時20分ごろ、行田市の利根川に架かる武蔵大橋で、男性=当時(46)=の体を手をつかんで持ち上げ、欄干から約12・6メートル下の川に転落させ、溺水による窒息で死亡させたとされる。

ツイート シェア シェア