【ぷらっとTOKYO】夕日に映えるレトロな風景 食べ歩きも楽しい谷根千エリア
東京都台東区の谷中、文京区の根津、千駄木周辺は「谷根千」と呼ばれるエリア。下町風情にあふれ、外国人観光客からも人気を集めるスポットを巡った。
荒川区のJR日暮里駅から緩やかに上る御殿坂を行くと、夕日の名所で「夕やけだんだん」と一般公募によって名付けられた階段がある。買い物客らで活気あふれる谷中銀座商店街が見下ろせる。
全長約170メートルの通りに昔ながらの個人商店を中心とした約60店舗が立ち並ぶ商店街では、行き交う人々の多くが食べ歩きを楽しんでいた。「郷に入っては郷に従え」のことわざ通り、「肉のサトー」の名物「谷中メンチ」を頬張る。ジューシーな肉汁とともにエネルギーもあふれ出し、国の重要文化財の根津神社を目指す。
不忍通りを経由し約15分歩くと同神社に到着。権現造りの美麗な拝殿や楼門といった歴史ある建造物と、カメやコイがすむ池など豊かな自然が調和した空間に心が落ち着く。春には「文京つつじまつり」が開かれ、色とりどりに咲き乱れるツツジを楽しむこともできる。
境内を散策し、夏目漱石や森鴎外が腰を下ろしたという「文豪の石」に触れると、何やら少し賢くなった気分に。奉納された鳥居群をくぐり抜け、木々の緑と朱色のコントラストが美しい乙女稲荷にも足を延ばした。高所に位置し、展望台のように境内を見渡せるスポットだ。
日も落ちかけ、頃合いとばかりにきびすを返して夕やけだんだんへ向かうと、既にスマートフォンを構えた多くの先客が。先刻と打って変わってオレンジ色に映えるレトロな風景が眼前に広がり、どこか懐かしくエモーショナルな時が流れた。
【メモ】住宅が密集し、路地が多い谷中は猫の街とも呼ばれ、猫をモチーフにした商品を取り扱う店や保護猫カフェもある。