埼玉新聞

 

<新型コロナ>新指標の「レベル1」も警戒必要、知事が強調 今冬に流行が懸念される「第6波」どうなる

  • 大野元裕知事

 大野元裕知事は9日の定例会見で、政府の新型コロナ対策分科会が、感染状況を従来の4段階から5段階に分類し、病床逼迫(ひっぱく)前に緊急事態宣言などの強い対策を講じられるようにした新指標をまとめたことについて、「新規陽性者数より医療の逼迫状況を重視することを主眼に置き、指標が見直されたことは極めて重要」と支持した。現在の県内の感染動向は新指標の「レベル1」(新型コロナに医療が対応できている)相当としながら、「再拡大を前提に、対策は抜かりなく行う」とし、今冬に流行が懸念される「第6波」に備える考えを示した。

 緊急事態宣言の発令や対策を強化する際の目安となる新指標は、「レベル0」(新規陽性者数ゼロを維持)から「レベル4」(一般医療を制限しても新型コロナに対応できない)の5段階に分類。病床逼迫を回避するため、先手を打って緊急事態宣言などの強い対策を講じられるようにした。

 知事は県内の現在の感染動向について、新指標の「レベル1」相当にあると説明。一方で、市町村と連携し、再拡大の兆候が表れた場合に注意を促す「警戒区域アラート(注意報)」を県として整備するなど、既に「レベル2」(警戒を強化するレベル)と同等の警戒強化体制を敷いていることを強調した。

 知事は「県はこれまでも政府の指標にかかわらず、専門家の知見も参考に総合的に判断してきた」とし、県独自の判断を重視して対策を講じてきたことを強調。「今後も政府の新たな考え方は参考にしながら、総合的に判断するスタンスは変えずに守る」と述べ、あくまでも新指標を参考に県内の実情に沿った対策を進める考えを示した。

 県内では「第5波」ピーク時には、1日当たりの新規感染者が最大2169人(8月19日)、病床使用率は最高72・4%(同21日)となるなど、感染は猛威を振るったが、8月末以降は減少局面に転じた。県内など19都道府県に出されていた緊急事態宣言は9月30日を期限に解除され、今月7日の新規感染者は全県で2人にまで減少している。

 現在の県内の感染動向について知事は「新規陽性者は相当程度下がって、医療機関への負担を含め落ち着いている。今のところ新たな山(ピーク)をつくるような因子は必ずしも多くない」と評価。一方で、海外でワクチン接種が進みながらも感染が再拡大傾向にある地域もあるとし「再拡大を前提に、対策は抜かりなく行っていく必要がある」と述べた。

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