埼玉新聞

 

児童虐待の対策強化…県が朝霞に児童相談所、来年4月開所へ 相談対応件数は増加…担当範囲をコンパクトに、より迅速な対応も可能に 一時保護所も付設、入所中の教育確保も細かく

  • 朝霞児童相談所(仮称)の外観イメージ(県提供)

 埼玉県は児童虐待防止対策を強化するため、朝霞市に県設置8番目となる朝霞児童相談所(仮称)を新たに整備する。2025年4月に開所する予定で、一時保護所も付設される。また、一部の児童相談所の所轄人口が、国が示す目安を超えているため、県議会9月定例会に「県児童相談所設置条例の一部を改正する条例」を提出しており、児童相談所の管轄する人口の平準化を図っていく。

 朝霞児童相談所(仮称)は、朝霞市の障害者支援施設「あさか向陽園」のグラウンドがあった場所に設ける。所轄区域は、朝霞市、志木市、和光市、新座市、富士見市、ふじみ野市、三芳町で、25年4月に開所予定。

 2階建てで、延床面積は4005平方メートル。予算は2年の継続事業で、23年度は1億4929万8千円、24年度は26億3210万円となる。

 同児相には県内6番目となる一時保護所が付設され、5月ごろから児童の受け入れを開始する予定。定員は30人で、県設置の一時保護所の定員総数は150人から180人に増加する。

 一時保護所では、児童の権利擁護に配慮し、学齢児童が過ごす居室は個室化。入所期間中の教育の機会を確保すべく、年齢に応じた学習室や個別学習室を設置し、入所児童へのきめ細かな対応を可能にするという。

 また、県は、県議会9月定例会に、日高市の所轄を川越児相から所沢児相に変更する議案を提出した。川越、所沢児相は所轄人口が110万人と、国が示す所轄人口の目安100万人を超えているため、新たな児相の設置と所轄地域の変更を通して、所轄人口の平準化を図る。

 23年度の県内児童相談所における児童虐待相談対応件数は、1万7472件と22年度から1・5%増加している。同年度の県内5一時保護所の入所率も88・0%と高い傾向だ。県担当課は「朝霞児相の設置で、担当範囲がコンパクトになることから移動距離が減り、職員の負担も少なくなる。より迅速な対応も可能となる」と話した。

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