埼玉新聞

 

100万円の寄付して反省…談合で鳩山町元職員に執行猶予 7億円以上の大規模工事で秘密漏えい

  • さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 鳩山町が2020年に発注した土木工事2件を巡る入札妨害事件で、官製談合防止法違反(入札妨害)と公競売入札妨害の罪に問われた鳩山町産業環境課元主幹の無職戸口啓被告(63)の判決公判が10日、さいたま地裁で開かれ、高島由美子裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。

 高島裁判官は判決理由で、計7億円以上の大規模工事にもかかわらず、工事価格を教え、最低制限価格に近い金額で落札させた戸口被告の行為について、「入札の公平が著しく害されている」と指摘。職務上の立場を悪用し秘密事項を漏えいさせていて、「利欲目的ではなくても犯行に至る経緯や動機に格別酌むべき点はなく、刑事責任は軽いものではない」と述べた。一方で、被告が鳩山町に100万円の寄付を申し出て反省の態度を示していることなどから刑の執行を猶予するとした。

 弁護側は「(被告は)具体的な見返りを求めてないし、受けてもいない」と、受動的な犯行と主張していた。

 判決によると、昨年5月20日、鳩山町から一般競争入札で発注された2件の土木工事について、戸口被告が建設会社「田中工業」前社長、田中歳光被告(63)=公競売入札妨害の罪で公判中=に事前にメモ紙を渡して工事価格を教え、最低制限価格に近い金額で入札、落札させた。

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