立腹…段ボールぶつけられた男、投げた男性を蹴る「注意しようと」 バランス崩した男性、転倒し死亡 脳を損傷 法廷で男「取り返しがつかない」…懲役4年を求刑、別の解決法は 弁護士「蹴る前に脳損傷かも」
昨年6月、川口市内の老人ホームで入所者の男性=当時(89)=に暴行を加え転倒させ死亡させたとして、傷害致死の罪に問われたさいたま市見沼区、無職の男(72)の裁判員裁判の論告求刑公判が7日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。検察側は懲役4年を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は11日。
検察側は論告で、段ボールなどで両手がふさがった状況では1回の蹴りでも「防御は困難で転倒の危険性が高い」と指摘。男性から段ボールをぶつけられたとする被告の主張には「本当にわざとか分からない。別の方法での解決も可能だったはず」と述べた。
弁護側は、男性のけがや脳の損傷について「事件前に生じていた可能性がないとは言えない」と主張。職員に相談するなどトラブル回避に努めていたとした上で、「事件時、段ボールを振りかぶって頭にぶつけられた。『またやられるかも』と思い、蹴ってしまった」と述べ、寛大な処分を求めた。男は最終意見陳述で、「大変申し訳ない。取り返しがつかないことをした」と述べ、裁判官らに向かって頭を下げた。
起訴状などによると、男は昨年6月28日、川口市内の老人ホームの廊下で、入所者の男性に突進しながら足を蹴るなどの暴行を加えて転倒させ、7月5日、頭蓋内損傷によりさいたま市内の病院で死亡させたとされる。
■注意をしようと蹴った(以下、初公判記事)
昨年6月、川口市内の老人ホームで入所者の男性=当時(89)=に暴行を加え転倒させ死亡させたとして、傷害致死の罪に問われたさいたま市見沼区、無職の男(72)の裁判員裁判の初公判が1日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。男は罪状認否で「私がしたことは、足を1回蹴ったことです」と供述した。
冒頭陳述で検察側は、同施設に入居していた男が隣室の男性から段ボールをぶつけられたことに腹を立て、犯行に及んだとして「動機は短絡的で、結果は重大」と指摘した。
弁護側は、廊下の椅子で新聞を読んでいる時にこれまでに段ボールを5回ぶつけられたと主張。事件当日は「男性が持っていた段ボールが頭に当たり、注意をしようと近づいて蹴った」と説明した。
起訴状によると、男は昨年6月28日、川口市内の老人ホームの廊下で、入所者の男性に突進しながら足を蹴るなどの暴行を加えて転倒させ、7月5日、頭蓋内損傷によりさいたま市内の病院で死亡させたとされる。