埼玉新聞

 

ベイシア、養殖マダイを限定販売 刺し身やすしなどで5千尾 アセロラ成分の餌で開発、後味良さに期待

  • 近畿大学とニチレイフーズが共同研究開発した「アセロラ真鯛TM」(ベイシア提供)

  • スーパー大手のベイシア

 県内で25店舗を展開するスーパー大手のベイシア(前橋市)は16日から、アセロラの成分が主の餌で育てた養殖マダイ「アセロラ真鯛TM」の限定販売を始めた。養殖用種苗生産技術で世界的な研究機関の近畿大学(大阪府)、大手食品製造業でアセロラ商品が主のニチレイフーズ(東京都)らが開発。アセロラの成分が品質の保持向上に寄与することを期待し開発が進む。約5千尾を刺し身やすしなどにして試験販売する。購入者から意見を集め、今後の本格販売に向け、育成に生かす。

 近大とニチレイが連携して開発、1月にベイシアで限定販売した「アセロラぶり」に続く取り組み。マダイは国内で養殖が盛んで近大でも研究が進んでおり、アセロラ活用に選んだ。

 ニチレイのアセロラ商品の生産過程で出る搾りかすには、アントシアニン系のポリフェノールとビタミンCが多量に含有。搾りかすの粉末を配合の餌で育成の養殖マダイの色合いは、白身がうっすらとベージュ色なのが特徴。含有成分の抗酸化作用による後味の良さの向上、肉質や色味の保持を期待し、開発を進めている。

 販売へ持続可能な水産物供給の実現と人工種苗の認知向上を目指した「SCSA認証」を取得した。国内小売業では初めて、同認証商品の販売を行う。持続可能で環境に配慮して生産した点を伝えながら販売するほか、スマートフォンアプリを通じて購入者からの食味など直接的な意見を集約。今後の本格販売に向けての養殖に生かす方針だ。

 SCSA認証は近大などが2017年に設立した「NPO法人持続可能な水産養殖のための種苗認証協議会」による、人工的に育てた稚魚を使って養殖した魚を認証する制度。18年海面漁業生産統計調査によると、全国の天然マダイ漁獲量は1万6千トン、養殖マダイ収穫量は5万9千トン。

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