暴力団から資金剥奪、詐欺被害の女性ら救済できた 和解した暴力団側、女性らに和解金全額支払う
2021/11/23/00:00
指定暴力団住吉会傘下の組員が関与した特殊詐欺事件で、被害に遭った女性3人が住吉会元トップらに暴力団対策法上の責任があるとして損害賠償を求めた訴訟は22日、東京地裁で和解が成立した。
被害者側の代理人によると、全国で提訴されている特殊詐欺事件訴訟で裁判上の和解は3例目。住吉会前会長らが女性3人に合わせて約301万円の和解金を払う内容で既に全額支払われた。被害者らは約478万円の損害賠償を求めていた。
代理人の弁護士によると、原告はいずれも首都圏在住の70代女性。2017年8月から9月にかけて被害に遭った女性らは、住吉会幹部の関功前会長と福田晴瞭元会長に対しては暴対法に基づき、同会傘下の組員2人には共同不法行為責任に基づき、今年4月に提訴した。組員2人は詐欺グループの統制役で18年5月に埼玉県警に逮捕され、19年2月にいずれも詐欺、窃盗罪で有罪判決を受けていた。
和解成立を受けて同日、県政記者クラブで会見した住吉会特殊詐欺事件組長訴訟埼玉弁護団は「第一審で和解したことで、控訴などもなく早期に被害者救済を図れる」と力を込め、「暴力団から資金を剥奪でき、下部構成員が関与した場合は団体トップの組長が責任を追及されることになるので、暴力団構成員による特殊詐欺に対する抑止効果がある」と意義を語った。