埼玉新聞

 

邪魔しないで!ローソンがリニューアルオープン前に「詐欺」対応訓練 客から怒られても、財産守るために

  • 特殊詐欺の「声掛けボード」を示して、東松山署員扮する男性客の応対をする店員の鈴木典子さん=17日午後、吉見町のローソン吉見江綱店

 増加傾向にある還付金詐欺などを水際で防いでもらおうと東松山署(円谷=つむらや=庄二署長)は17日、吉見町江綱のコンビニエンスストア「ローソン吉見江綱店」(鈴木伸洋店長)で特殊詐欺対応訓練を実施した。

 同店のリニューアルオープン(18日)を前に、同店員と同署員約10人が参加。訓練は還付金とポサカード(プリペイドカード)詐欺の二つの事例を想定して行った。

 還付金詐欺の訓練は、携帯電話で通話しながら同署員扮する男性客が慌ただしく来店した場面から始まった。ATM(現金自動預払機)前で、男性が「今、コンビニに着きました」、操作しながら「○○番号ですね? 送金ボタン? 振り込みボタンですか?」などと耳にした店員が「特殊詐欺」を疑い、県警作成の注意喚起の「声掛けボード」を持って近づく。タイミングを図って男性客にボードを示して、「ちょっと、すいません止めてください」と話し掛けると「何をするんだ」と怒られたが、ひるまずに「保険料の払い戻しがあるとか、還付金があるとか、電話がありませんでしたか」と尋ねると、「2時までに手続きしないともらえない、邪魔しないで」と言われた。詐欺を確信した店員は、さらにATMで還付金は受け取れない事を説明、警察に相談するように促した。店員の合図で、カウンターにいた店長が実際に110番通報訓練をして終了した。

 同署生活安全課の高橋雅明係長は「(2事例とも)落ち着いた対応で声掛けのお手本のようだった」と評価した。

 なお、今年の同署管内の特殊詐欺被害は同日現在、11件(被害総額約2200万円)。その一方、コンビニや金融機関の協力で、33件(約1900万円)の詐欺被害を未然に防いでいるという。

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