小学校の再編計画、埼玉・行田市で進む 児童減少で適正規模の授業できず 延期求める保護者も「不信感が」
県北部の行田市で市立小学校の再編計画が進められている。児童数の減少に伴い、適正規模で授業ができない問題などを解消するのが目的だ。人口減少や少子化が進み、今後もその傾向は続くと予想される。ただ、再編を巡りスクールバスの運行方針などが変更され、対象となる小学校の保護者からは「時期尚早」と延期を求める声も出てきている。
行田市は1985年度のピーク時に約1万2千人の児童生徒数がいたが、約5200人まで減少。現在、市北部の北河原小、須加小、星宮小で複数の学年を一つにした複式学級が発生している。小規模校は児童一人一人に目が届きやすい一方、学校行事などに制約が生じ、クラス替えができず人間関係も固定化しやすい。
市は児童数の減少による学校活力や教育効果の低下を抑えることなどを目的に2019年、将来的に小学校を16校から7校にする市公立学校適正規模・適正配置の基本方針と再編成計画を策定した。
中央小と星宮小を再編成、来年4月に現在の中央小の場所に忍小を新設。8月の臨時議会では、北河原、荒木、須加の3小学校を来年3月末で廃止し、現在の荒木小の場所に同年4月から見沼小を新設することが決まった。23年には太田西小と太田東小の再編成も予定されている。
市は当初、北河原小、荒木小、須加小、見沼中を再編し、小学校と中学校の施設を一体化して義務教育を一貫して行う義務教育学校を設置する方針だった。だが、不安視した荒木地区を中心とする保護者や地域住民から反対の声が上がり、白紙に。今回の統廃合に伴い、基本的には北河原小の児童は南河原小、荒木小と須加小の児童は見沼小に通学することになる。
市は須加小の児童について、閉校後に通う見沼小と桜ケ丘小の両方へスクールバスを出す方針だったが、臨時議会ではバス運行などに関連する一般会計補正予算の付帯決議も全会一致で可決された。「児童および地域への対応については、特例を設けることなく、平等かつ公平を保つよう制度の適切な運用に努めること」を求める付帯決議にのっとり、市は指定校の見沼小のみにバスを運行し、指定校以外へ通う場合には保護者が責任を持って送迎を行うということを決定した。
これを受けて須加小の保護者有志で組織する市民団体「とねのこの会」は10月25日、見沼小の開校延期を求める1353人分の署名と陳情書を石井直彦市長に提出。保護者らは「設置すると言っていた義務教育学校が白紙になったり、出ると言っていたスクールバスが出なくなるなど、説明が二転三転していて不信感がある」と訴えた。
市は予定通りに見沼小の開校を進めると回答。石井市長は今月18日の定例会見で、「須加小の複式学級は好ましい状況でなく、子どもたちのことを第一に考えて進めていきたい」とした。
同会代表の野口昭彦さん(39)は「須加小はいずれ閉校になるのは仕方ないが、スクールバスが出ないのは納得がいかない。本当に子どもたちのことを考えているとは思えない」と話している。