ガソリン代の安さが全国屈指の埼玉、「石油放出」で今後どうなる 「価格に敏感」な埼玉県民、見直しも?
岸田文雄首相は24日、原油高抑制のため、米国と協調し石油の国家備蓄の一部を放出する考えを表明した。放出量は国内消費量の2、3日分に相当する数十万キロリットルとする。価格抑制を目的とした放出は初めて。米国からの要請を受け、主要消費国の中国や英国、韓国、インドも足並みをそろえる見通しだが、投資家には効果を疑問視する見方があり、東京の原油先物市場は24日大幅に上昇した。
■県石油業協同組合「影響限定的か」
15日時点の県内のガソリン平均小売価格は、レギュラーが1リットル当たり163円80銭で、4週連続で160円台の高値圏が続く。その中での放出方針について、ガソリンスタンドの経営企業で組織する県石油業協同組合では「数日分と限られた量の放出で、市場に与える影響は限定的ではないか」と推測する。
もともとガソリンの県内平均価格は全国屈指の安さで、ユーザーの意識は「価格に敏感」という。原油価格はドル建てで、円安だと輸入される原油価格は上昇する。現状は円安も背景に価格が上昇し、売値に反映せざるを得ない側面もある一方で、高値を要因にユーザーが自動車利用を見直す可能性もあり「環境的には難しい状況」と話す。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、マイカー通勤者が増えるなど自動車利用のケースが増加した。ただ価格高騰を受け「再び通勤方法や自動車利用のシーンを見直すユーザーは少なくないのではないか」とみる。
原油価格の高騰を受けた消費者らの負担軽減策として揮発油税などを減税する「トリガー条項」の凍結解除を求める声が全国各地で高まる。会員企業からも「価格を抑え、ユーザーが利用しやすくするためにも、凍結解除が必要」との声が聞こえ始めているという。
一方、国が温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを進めており、「国は凍結解除には慎重姿勢を崩さないのではないかとみる声も一部ではある」とした。