衆院選が公示 「裏金」争点、まず謝罪/埼玉県内の選挙区の動き
私たちの未来を誰に託すのか。衆院選が15日公示され、各党党首らは支持を訴えた。自民党派閥による裏金事件を大きな争点の一つに、12日間にわたる選挙戦の号砲が鳴った。県内の選挙区でも、裏金問題に関係した前議員4人が第一声で「政治不信を招き申し訳ありません」「心からおわびする」と謝罪し、支持者に向かって深々と頭を下げた。物価高対策、子育て支援策など課題は山積。有権者は貴重な1票を投じるため、候補者の言葉に耳を傾けた。
■非公認前職ら計4人/6区
自民党派閥の裏金問題で、非公認となった前職、立民の前職のほか、維新と共産の新人の計4人が出馬した。
中根一幸氏(55)は、裏金事件で自民から公認されず、無所属で立候補した。午前10時からJR上尾駅東口で開いた出陣式には、自転車で到着。「政治不信を招き、申し訳ありません。もう一度だけ、チャンスを与えてください」と出直しを誓った。
維新の細谷美恵子氏(64)は午後5時前から、JR鴻巣駅東口で街頭活動に臨んだ。自民の裏金事件に触れ、「クリーンな人でなければ上に立ってはいけない」と対立候補を批判した。
立民の大島敦氏(67)は、出身地のJR北本駅西口で午後3時から出陣式を行った。「日本は力を出し切れば、住みやすい国にできる。次の時代をつくるため働きたい」と支持を呼びかけた。
共産の秋山もえ氏(48)は午前11時から、JR上尾駅西口で第一声。中根氏を念頭に、「裏金議員は当選させられない」と訴え、「自民政治が続く限り暮らしは良くならない」と変革を求めた。
■前職に新人3人挑む/8区
自民党派閥の裏金問題で重複立候補を認められなかった前職に、維新、共産、立民の新人3人が挑む。
8選を目指す自民の柴山昌彦氏(58)は西武所沢駅前で出発式を行った。演説の冒頭、政治資金の不記載問題について、「ご迷惑とご心配をおかけしたことをおわびする。(党内の)改革に全力を尽くす」と謝罪し、深々と一礼。「今回の選挙は政権をどこに委ねるかを決める選挙」と訴えた。
立民の市来伴子氏(47)は午後4時半ごろ、東武東上線ふじみ野駅前で「政権交代がないから利権(政治)や癒着が起きる」と支持を求めた。同党幹事長の小川淳也前衆院議員も駆け付け、「私たちの手で政治改革を断行させてほしい」と呼びかけた。
維新の市野一馬氏(40)は、午前10時半に東武東上線上福岡駅で行った出陣式では、用意したチラシが次々と通行人の手に渡り、開始直後に約50部全てを配り終えた。
共産の平井明美氏(80)は、午前11時から所沢駅西口で第一声のマイクを握り、「今回の選挙は政治とカネが争点」と強調した。
■自民前と立維共新人/9区
自民党派閥の裏金問題で重複立候補を認められなかった自民前職、立民、共産、維新の新人の計4人が出馬した。
自民の大塚拓氏(51)は午前10時、入間市の選挙事務所で出陣式を行った。大塚氏はあいさつの冒頭で「政治資金問題により多くの人にご心配をいただき、政治不信を招いてしまった。心からおわびする」と10秒間余り、頭を下げた。重複立候補が認められなかったことにも触れ、「選挙区で1票でも足りなければ議席を失う。石にかじりついてでも勝ち抜く」と強調した。
立民の杉村慎治氏(48)は午後4時、西武狭山市駅西口に立ち、「一番の争点は裏金の国会議員との決別だ。政治活動に裏金は必要ない」と話した。
共産の猪股嘉直氏(70)は午後2時半、入間市の百貨店前で演説。「今度の選挙は裏金議員の問題だけではない」と基地問題も訴えた。
維新の近藤秀将氏(46)は午後6時、西武飯能駅北口で、「手元にあるお金を使えるように消費税減税、教育無償化が必要だ」と語った。