【ぷらっとTOKYO】立川で極地探求の歴史学ぶ 米軍基地跡地には昭和記念公園
南極圏や北極圏の観測や実験、研究を進めてきた「国立極地研究所」の活動を紹介する展示施設を、東京都立川市に訪ねた。
JR立川駅から北へバスに揺られること約5分、立川市役所の近くに極地研や「南極・北極科学館」がある。科学館に入ると、数万年前の雪が空気を含んだまま押し固められてできた南極の氷が出迎えてくれた。氷に閉じ込められた空気は地球の過去の環境変動を解き明かすのに役立つため、より古い年代までさかのぼれる氷の掘削が現在も進められているという。
展示された越冬隊員の防寒服や犬ぞり、1968年に日本から初めて南極点に到達した際に使われた大型雪上車からは、極地探求と技術進化の歴史が感じられる。昭和基地で現在の越冬隊員が過ごす居住スペースも再現。収納が多く快適そうだが、館内で流している基地周辺のライブ映像には見るからに寒そうな雪原が広がっていた。
科学館の外や近くには、初期の南極越冬隊と共に活躍したカラフト犬のモニュメントや南極観測船の初代「しらせ」のスクリュープロペラのブレード(羽根)も飾られていた。ブレードは、高さ約2メートル、重さは約3・5トンにもなるという。
立川駅と西立川駅の北側には、米軍立川基地跡地に建設された「国営昭和記念公園」が広がる。立川市と昭島市にまたがる180ヘクタールの広大な敷地で、年間で800種を超える植物を見ることができる。サクラやヒマワリ、キンモクセイ、サザンカなどが四季折々に咲き乱れ、週末は散策して草木を撮影する人やピクニックを楽しむ人でにぎわう。
園内には昭和30年代の農村風景を再現した「こもれびの里」も。田畑や果樹園、水車やかやぶき屋根の農家が織りなすのどかな景色は、まるでタイムトラベルしたかのような気持ちにさせてくれた。
【メモ】昭和記念公園内の移動はレンタル自転車が便利。大人用、子ども用の他、タンデム(2人乗り自転車)もある。