埼玉新聞

 

自、立 父から地盤 割って入る維、共新人 衆院埼玉7区(川越市、富士見市)

  • 繁華街を練り歩き、支持を訴える候補者=18日午後、川越市内(画像の一部を加工しています)

    繁華街を練り歩き、支持を訴える候補者=18日午後、川越市内(画像の一部を加工しています)

  • 繁華街を練り歩き、支持を訴える候補者=18日午後、川越市内(画像の一部を加工しています)

 「川越から新しい日本をつくりたい」―。高く青い空が広がった13日、首相の石破茂が埼玉県の川越市内で言葉を放った。自民前職、中野英幸(63)の総決起大会の会場だ。当の中野が登壇した。「石破政権の中で成長と分配の好循環をつくっていきたい」。こう述べた上で、今回の総選挙に触れ「自民党が引き起こした数々の問題によって大変厳しい」と支持を求めた。会場には公明の議員らも駆け付けた。

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 さかのぼること4日。石破の下で衆院が解散された。議員バッジを外したばかりの立民前職、小宮山泰子(59)は9日夜、東京・永田町から列車で地元に戻り、川越駅で街頭に立った。「解散は自民の政権維持のためだ。皆の負担ばかりを増やす古い政治と戦う」。そう批判を強めた。

■接戦

 中野と小宮山。2人はそれぞれ清(88)、故重四郎という地元選出の元衆院議員を父に持つ。

 2021年の前回総選挙で、2人は接戦を繰り広げた。中野の9万8958票に対し、小宮山のそれは9万3419票。小宮山は比例で復活する。中野は5500票余りの差で逃げ切った戦いを「執念だった」と顧みる。

 競り合いの背景の一つには、選挙区の事情があるといわれている。中野も小宮山も、父から続く保守系の支持層を持ってきた。「川越には保守層にも、小宮山ファンがいる。だから(自民と)ほぼ互角の戦いが続いている」。関係者からはそんな声が聞こえてくる。

■険しさと地力

 国会議員に至る中野の道程は、険しかった。17年衆院選。県議だった中野は川越市議らから推され出馬を模索したが、当時の党幹事長、二階俊博の「裁定」で断念した。「次回は公認候補にする」。二階の言葉を信じた先に、21年からの中野の議席はあった。

 対する小宮山は7期を重ね党県連代表にも就くベテランだが、自民候補を前に4回連続で比例当選に甘んじている。前回総選挙で掲げられた野党共闘では「統一候補」として臨んだ。その効果について自身は「めったにない現象で分からない」と顧みつつ、「今回はそれを説明する必要がなくなった。狙うところは政治への不安を持つ人々だ」。地力による09年以来の小選挙区での勝利に、照準を定める。

■「川越票」7割超

 「私は世襲ではない。民間感覚を持った2児の母だ、現役世代だ」。維新新人の伊勢田享子(47)が14日、川越駅の駅頭で自らを紹介した。初出馬の前回は中野と小宮山の戦いに割って入り、3万1475票を集めている。陣営関係者は「今回の石破の対応が『安倍派つぶしだ』と憤っている人の受け皿になれれば、プラスになる要素がある」と話し、保守色の強い票の獲得も見据える。

 共産新人の佐藤一馬(33)は、党が県内14小選挙区に立てた候補者の中で最年少だ。公示後の17日には、川越市内のスーパー近くでマイクを持った。元病院事務職員の経歴を持つ佐藤は、年金制度を引き「今は若い世代も、将来が心配だと手を挙げ始めている」。演説では比例票の上積みを重ねて求めた。

 今回は区割りが変更され、ふじみ野市の一部が隣接の8区に編入された。7区を構成する川越、富士見両市の有権者数38万8千人余りのうち、川越市分の割合は約75%に及ぶ。大票田となる「川越票」の動向が注目される。=敬称略

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