社会人の世界では「100―1=0」になる理由 JALの元CAが語るマナーの奥深さ 一つの失敗で全員が
吉川市立南中学校(福嶋正悟校長)で2日、元国際客室乗務員によるマナー講座が行われた。2年生約160人は言葉遣いや身だしなみなど実社会で役立つマナーの数々を学び、実践を交えて体験した。
講師は元JAL国際線客室乗務員の斎藤貴子さん。斎藤さんは平成、令和と天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に際して各国首脳の接遇に当たり、今年の東京五輪・パラリンピックでは組織委員会国際局スーパーバイザーとして、ボランティアらへの研修を行った。
「マナーとは何か」。斎藤さんはキャッチボールを例に生徒に質問し、「マナーは一つ目に相手を思いやる気持ち、二つ目に誰もが気持ち良く過ごせるため」と説明。人の印象については視覚から約55%、聴覚から38%影響を受けるとし、「人に接する際は第一印象が最も大切。相手に悪い印象を一度持たれてしまうと、変えてもらうのはとても難しい」と話した。
講座では客室乗務員時代の失敗例も披露。同僚や部下のクレーム対応などでは、「社会人は100引く1が99ではなくゼロになる場合もある。一つの失敗が会社全体のイメージにつながる」と話し、「たった数人がマナー違反しただけで南中全員がマイナスのレッテルを張られることもある。そのことを理解して学生生活を過ごして」と生徒に呼び掛けた。
実践では生徒が2人1組になり、礼の仕方や身だしなみ、あいさつなどをそれぞれチェック。何気ない日常の中にも多くのマナーがあることを改めて確認していた。
同校は毎年2年生が市内の飲食店や学校で職場体験を行っているが、新型コロナの影響で昨年から中止となっている。実際に社会へ出て学ぶ貴重な機会が失われたため基本マナーを学んでもらおうと、教諭が講座を企画して初開催された。
斎藤さんは最後に「impоssible(インポッシブル)は決して不可能ではない。 I’m pоssibe(アイムポッシブル)として考えを変えれば不可能はなくなる」と力説。そして「マナーをしっかりと身に付け、立派な大人になってください」と笑顔でエールを送った。
学級委員の大泉玖平さん(14)は「礼一つをとってもいろいろあり、考えさせられた。学校生活で活用したい」。丸山真里奈さん(14)は「当たり前の日常の中に、多くのマナーが存在することを学んだ。このような機会を設けてくれた講師や先生に感謝。早く身に付けて、実践できれば」と話していた。