埼玉新聞

 

<熊谷小4ひき逃げ>必ず犯人に…信じる母親、ラジオで訴え 時効撤廃され、逃げること考えない社会に

  • FMクマガヤのスタジオで生放送に出演した母親(手前)=10日午後2時10分ごろ、熊谷市筑波のアズ熊谷6階

 熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、孝徳君の母親が10日、市内のコミュニティーFM「FMクマガヤ」の生放送に出演した。この日は冬の交通事故防止運動で交通事故死ゼロを目指す日と自転車の交通事故防止の日で、罪名変更が定着していないなどひき逃げ事件捜査の現状を紹介。死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求める署名運動への協力を呼び掛け、「逃げることを考えない社会になってほしい」と訴えた。

 孝徳君は09年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石の路上で、書道教室から自転車で帰宅している途中で事故に遭った。県警は自動車運転過失致死罪の時効目前となった19年9月、罪名を危険運転致死罪に変更し、捜査を継続することになり、時効は10年延長された。

 適用罪名の変更は県警で初めてだったが、母親は10~18年に全国で1346件の死亡ひき逃げ事件が発生し、09年以降の未解決の死亡ひき逃げ事件は約50件に上ることを紹介。罪名変更は定着しておらず、今年は2月に山梨県、5月に熊本県、9月に静岡県の死亡ひき逃げ事件が3件とも時効を迎えたという。

 死亡ひき逃げ事件については自動車運転過失致死罪で捜査しているのが現状だが、実際に犯人を逮捕すると、飲酒運転などで車を運転して人を死亡させた場合に適用される危険運転致死罪の事件も一定数あると指摘。「死亡ひき逃げ事件は犯人の状態が分からないので、危険運転(致死罪)で捜査を始めるべきだ」と強調した。

 死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求めて実施している署名活動にも言及。オンラインと手書きの署名を合わせて約6万1千人分集めた。今月中に法務省に時効撤廃を求める署名と嘆願書、警察庁と国家公安委員会に罪名変更の見直しについての嘆願書を提出する予定だ。

 民間の事故調査会社に依頼した証拠品の再鑑定で、孝徳君は2台の車にひかれた可能性が浮上している。「1台目が助けてくれていたら」という気持ちは残っているが、「時効が撤廃されることで、相手のことを思いやる社会、逃げることを考えない社会になってほしいと強く願う」と語った。

 事故当時の現場付近の商業施設の営業状況や現場の道路事情なども紹介。情報提供のために行っているブログなどにも触れ、19年1月から現在までに会員制交流サイト(SNS)を通して310件の情報提供があったといい、「今の時代だからこそ、発信を続けることで必ず犯人にたどり着くと信じている」と話した。

 母親のブログは「《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事故!」(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)。

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