埼玉新聞

 

名将・高嶋仁名誉監督、埼玉・春日部で小中学生に“力まない”打撃指導 下半身とバットの重みで振り抜いて

  • 1対1のティー打撃では高嶋名誉監督自ら球をトス。選手個々に、欠点を修正するための方法を分かりやすく指導した=12日、春日部市の庄和リトルシニアグラウンド

 甲子園歴代最多の68勝を挙げた智弁和歌山高の高嶋仁名誉監督(75)が12日、春日部市の庄和リトルシニアグラウンドを訪れ、小中学生に打撃指導などを行った。高嶋名誉監督は「打撃で一番大切なのはタイミング。力むとずれるので、下半身とバットの重みを使って鋭く振り抜くこと」と強調、選手と1対1の指導でも「力まない、力まない」と何度も口にしていた。

 高嶋名誉監督は智弁学園高監督を経て1980年、智弁和歌山高監督に就任。甲子園に春夏通算38回出場し、勝率6割6分、全国制覇も3度成し遂げた。教え子の一人で甲子園優勝を経験し、法大、日本生命でも活躍した佐々木勇喜さんが校長を務める「佐々木ナマ粋スクール」の顧問として和歌山県から駆け付けた。

 甲子園屈指の名将に、子どもたちは緊張しながらも表情は真剣そのもの。ティー打撃で一人一人の欠点を瞬時に見抜いた高嶋名誉監督は、時には選手をいすに座らせたり、2、3歩ステップさせたりして、個性に応じた“力まない”方法を丁寧にアドバイスした。

 指導を受けた庄和シニア3年の稲垣大和選手は「バットを、重く見えないように振れなんて聞いたことがなかった」と目からうろこの表情。一方、田中広弥選手(3年)は「バットの重みを使って打てと教わり、さらに下半身をプラスすれば打球が伸びると言われた」と声を弾ませていた。

 歩きながら球を打つ練習法を助言された片庭健悟選手(3年)は「右足に力が入らないように教わった」と改善へのこつをつかんだ様子。安濃煌雅選手(1年)は「股関節に軽く“ため”をつくるリラックスの方法を教わった。甲子園で見た高嶋監督に会えてうれしい」と目を輝かせていた。

 100人を超える参加者を前に、「野球も勉強も基本が大事」と強調した高嶋名誉監督。スクール校長の佐々木さんは「高嶋名誉監督は野球だけでなく、常に社会に出てからの生き方を見据え、勉強を重視してきた。私も子どもたちと対話しながら、野球にも勉強にも生かせる集中力の大切さを伝えていきたい」と話した。

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