埼玉新聞

 

【ぷらっとTOKYO】生け垣映える街で建築散歩 世田谷、成城学園前駅周辺

  •  旧猪股邸の開口部=東京都世田谷区

     旧猪股邸の開口部=東京都世田谷区

  •  旧猪股邸の茶室=東京都世田谷区

     旧猪股邸の茶室=東京都世田谷区

  •  「創造の部屋」にある執務机=東京都世田谷区

     「創造の部屋」にある執務机=東京都世田谷区

  •  小型純電気式計算機=東京都世田谷区

     小型純電気式計算機=東京都世田谷区

  •  旧猪股邸の開口部=東京都世田谷区
  •  旧猪股邸の茶室=東京都世田谷区
  •  「創造の部屋」にある執務机=東京都世田谷区
  •  小型純電気式計算機=東京都世田谷区

 小田急小田原線の成城学園前駅周辺(東京都世田谷区)は、成城学園が1924年から開発し分譲した学園町で豪邸が立ち並ぶ。成城自治会は住環境やブランドを守るため「成城憲章」という紳士協定を引き継ぐ。生け垣が映える緑豊かな街には公開されている邸宅が点在し、建築散歩を楽しめる。

 駅から西へ徒歩7分ほどでおしゃれな洋館が見えてきた。旧山田家住宅だ。日本人実業家が37年ごろに建て、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)が接収。61年に日本画家の故山田盛隆さんが購入し、暮らした。2016年には区指定有形文化財に指定された。

 洋室の床や廊下には模様が異なる寄せ木張りが使われている。客用階段の上げ下げ窓にはステンドグラスが施され、細部の意匠が美しい。

 北東へ5分ほど歩き、旧猪股邸を訪ねた。文化勲章受章の建築家吉田五十八が晩年に手がけた現代風の数寄屋造り。労務行政研究所の初代理事長を務めた故猪股猛さん夫妻の住まいとして67年に建てられた。

 スギゴケが生えた庭に面する開口部は、雨戸、網戸、ガラス戸、障子戸が柱の間に格納されると、視界を遮る物がない。開放的な空間に深呼吸したくなる。茶道をたしなむ夫妻のため、京都から職人を呼んで造った茶室もある。

 樫尾俊雄発明記念館へ足を延ばした。カシオ計算機の名誉会長を務めた故樫尾俊雄さんの自宅の一部を改装し、2013年にオープン。樫尾さんが発明した世界初の小型純電気式計算機や、オートカレンダー機能搭載の腕時計なども見ることができる。

 「創造の部屋」と呼ばれる書斎は、壁一面に大理石が使われ、重厚感がある。低めの執務机が置かれ、ここで樫尾さんは紙と鉛筆を手元に思索にふけったといわれる。

 【メモ】樫尾俊雄発明記念館の見学は無料。完全予約制で同館のホームページから申し込みが必要だ。

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