浦和が天皇杯制覇、サポーターら劇的勝利に歓喜 功労者に感謝も「槙野、宇賀神、阿部にささげる勝利」
サッカーの第101回天皇杯全日本選手権は19日、東京・国立競技場で決勝が行われ、浦和レッズが大分トリニータを2―1で下し、3大会ぶり8度目の優勝を果たした。サポーターが集まる、さいたま市浦和区仲町の「酒蔵力 浦和本店」では、訪れた客らが劇的な勝利に歓喜の祝杯。今季限りで退団する槙野智章選手の決勝ゴールの瞬間、店内は興奮のるつぼと化した。
前半開始早々、江坂任選手のゴールで幸先よく先制した浦和レッズ。試合は1―0で終盤まで進み、このまま終わるかと思われたが、ドラマは最後の最後に待っていた。
終了間際、大分のペレイラ選手に頭で決められて同点。店内は一瞬静まり返り、「えーっ」「なんで~」と、ため息や怒りの声が漏れた。それでもすぐに「まだまだ大丈夫」「取り返せ」の応援が。
すると、後半ロスタイム、柴戸海選手がミドルシュートを放ち、槙野選手が頭で角度を変えてゴール。客らは一斉に立ち上がり、両手を突き上げて喜び合った。
「まじでやばいっす。槙野、持ってるな」。友人4人で訪れた、さいたま市浦和区の会社員今村遊さん(29)は土壇場のゴールに興奮気味。「準決勝は宇賀神(友弥選手)が決めて、決勝は槙野が決めた。有終の美を飾った」と退団する2人の貢献をたたえた。
友人で同区の会社員大倉晋さん(28)は、引退する阿部勇樹選手の名前を挙げ、「槙野、宇賀神、阿部ちゃんにささげる勝利。ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)に出られることより価値のある勝利」と功労者に感謝した。
さいたま市桜区のパート小林千江美さん(45)は、「槙野があそこでヘッドで触っていなかったら、ゴールになっていなかったかもしれない」と決勝点の場面を解説。友人で同区の会社員原亜希さん(45)は、「槙野が決めたのは偶然じゃなく必然。全てのパワーをもらった。ありがとうございます」と頭を下げた。
同店はサポーターの聖地として、知らない客同士が抱き合って喜んだり、レッズ談義を交わしたりする貴重な団らんの場。新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、売り上げが大きく減少し、感染対策を取りながら応援スタイルも模索してきた。
今井俊博店長(42)は力を込める。「3年前の日常が戻り、みんなで和気あいあいと応援できるようになればと思ってやってきた。今日は格別にうれしい優勝です」