<熊谷小4ひき逃げ>証拠品を紛失、発覚を恐れて書類をシュレッダーに 弁護側「紙片ないし目撃者いない」
2021/12/21/00:00
熊谷市で2009年9月に発生した小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、県警が紛失した孝徳君の腕時計に関する捜査書類を破棄したとして公文書毀棄(きき)の罪に問われた、県警交通捜査課の元警部補の男(63)の論告求刑公判が20日、さいたま地裁(任介辰哉裁判長)で開かれた。検察側は懲役1年6月を求刑。弁護側は改めて無罪を求めて結審した。判決は来年3月7日。
起訴状などによると、ひき逃げ事件発生当時から県警交通捜査課の警察官として捜査を担当していた男は証拠品として押収していた腕時計の紛失が発覚することを免れるため、15年9月に証拠品に関する書類2通をシュレッダーで破棄したとされる。
論告で、検察側は男が主たる捜査員としてひき逃げ事件に従事し、腕時計紛失の責任を問われることが懸念される立場だったと指摘。証拠品の再鑑定のため、任意提出を受ける手続きを書類のみで行ったことで、紛失を知ったにもかかわらず事実と異なる外形をつくりだしたとして「書類上、つじつま合わせすることによって、腕時計紛失の隠蔽(いんぺい)を図る強い動機があったと認められる。自己保身目的の身勝手な犯行」と強調した。
弁護側は被告が事故当時、管理責任者ではなく他の現場捜査員と同じ立場で、腕時計紛失を隠蔽する動機はないと説明。最初の聴取が黙秘権を告知せずに行われたのは違法だとした上で、「毀棄された日時を特定できず、紙片もなく、目撃者もいない」と主張し、被告が書類を破棄した証明が不十分だとした。
男は、最終意見陳述で「書類の毀棄は覚えがありません」と述べた。