埼玉新聞

 

工学部に女子枠設置 埼玉大学が学部などの再編計画公表 現在は工学部全学生2114人の内、女子学生は254人で全体の12% 全国平均下回る

  • 会見する埼玉大学の坂井貴文学長(前列中央)ら=10月31日午後、県庁

    会見する埼玉大学の坂井貴文学長(前列中央)ら=10月31日午後、県庁

  • 会見する埼玉大学の坂井貴文学長(前列中央)ら=10月31日午後、県庁

 埼玉大学は10月31日、2026年度からの学部・学科・研究科の再編計画を公表した。工学部に新たに女子学生入学枠を20人分設け、教員養成機能を充実させるために教育学部の入学定員を60人減らす。ダイバーシティー社会を担う人材育成のために教養学部と大学院人文社会科学研究科でも再編を行う。会見した坂井貴文学長は「大学の機能強化を図って、社会に求められる存在としてさらなる飛躍を遂げたい」と話した。

 26年度に設置される女子枠は、機械工学・システムデザイン学科に7人、電気電子物理工学科に7人、情報工学科に6人と、工学部5学科のうち女性比率の特に低い3学科に計20人分を設ける。

 埼玉大では、工学部の全学生2114人(5月1日時点)に占める女子学生が254人、12%で、私学を含む全国の工学部における平均割合の16%を下回っている。

 坂井学長は「女子学生が少ないのは全国的な問題。ある程度の割合に上がるまで、アファーマティブ・アクションをせざるを得ない」と述べた。

 教育学部では、小・中学校コースを廃止し、情報通信技術(ICT)や教育データの活用など新しい時代に対応する教員養成のため、体制やカリキュラムを整備。全国的な少子化による学級数の減少、教員の採用規模の減少に合わせて、入学定員を60人減らす。

 教養学部教養学科には、心理学やジェンダー研究など現代社会の多様性に関する専門的知識を学修する「共生構想専修課程(仮称)」を新設し、教養学部の入学定員を40人増やす。

 大学院人文社会科学研究科には、日本初となるDIE(多様性・公平性・包摂性)に基づいた実践を展開できる専門家を養成する「ダイバーシティ科学専攻(仮称)」(博士前期課程)を設置する。

 埼玉大は22年度にダイバーシティ推進センターを設置するなど、地域のダイバーシティー環境の課題解決を目標に、地域が抱えるダイバーシティー環境の社会実装に取り組んできた。

 会見で坂井学長は「人口減少や世界情勢の不安定などから、大学に期待されるものも変わってきている。これまでにないドラスティックな改革が必要」と話した。

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