埼玉新聞

 

走り屋、免許取り消し覚悟で89キロ超…衝突して男性の命奪い懲役8年 「交通量は少ない」と主張していた

  • さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 飯能市で2018年10月、制限速度を89キロ超える約129キロで乗用車を運転して事故を起こし、3人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた会社員鈴木雄弥被告(34)の裁判員裁判の判決公判が22日、さいたま地裁で開かれ、小池健治裁判長は懲役8年(求刑・懲役9年)を言い渡した。

 小池裁判長は判決理由で、被告は過去に速度超過などで2度の免許取消処分となり、さらに事故の半年前にも現場付近で制限速度を80キロ以上も超える運転で取り締まりを受けたと説明。いずれ免許が取り消されることを自覚していたことから「高速度走行の危険性を顧みるべきだった」と指摘した。その上で大きな事故につながる危険性をはらむ高速度運転を繰り返して犯行に至ったとして「一層の厳しい非難に値する」とした。

 また、大学院卒業を控えて希望する大手自動車メーカーへの就職が内定していた被害者を死亡させた結果は重く、「遺族の無念さは計り知れない」と述べた。

 弁護側は「現場道路の交通量が少なかった」などと主張し、減刑を求めていた。

 判決理由を述べた後、小池裁判長は「自分のやったことを振り返り、どれだけ悲しい結果を生んだのか、今後どうするべきかをしっかり考えて下さい」と説諭した。

 判決によると、鈴木被告は18年10月19日、午前2時10分ごろ、飯能市平戸の国道299号を約129キロで走行し、カーブを曲がりきれずに対向車と正面衝突。対向車を運転していた男性=当時(23)=を死亡させ、助手席の男性=同(23)=と自車の助手席に乗っていた男性=同(20)=に骨折などの重傷を負わせたほか、同年4月20日には市内の国道299号で乗用車を123キロで運転した。

 県警は今年2月1日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで鈴木被告を書類送検。地検が5月28日に在宅起訴していた。

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