カインズ、東急ハンズを買収 新商品の開発・投入を狙う 郊外に強いカインズ、都市部中心エリアもカバーへ
2021/12/23/00:00
ホームセンター大手のカインズ(本庄市)は22日、東急不動産ホールディングス(HD)子会社で生活雑貨店を展開する東急ハンズ(東京都)を買収すると発表した。2022年3月31日に完了する予定で、買収額は非公表。小売業の本格的な買収は初。東急ハンズの店舗網を生かした新商品の開発、投入を通じて新たな需要を掘り起こし、相乗効果を高めていく。
10年以上前から独自開発の生活用品などを販売し、高評価を得るカインズのノウハウを生かしつつ、両社で新商品の開発を進める。カインズが持つスマートフォンアプリやインターネット通販などデジタル領域の基盤を東急ハンズにも提供し、業務の効率化を推進。全国各地に張り巡らされたカインズの物流網も生かし、コストの圧縮も進める。
カインズは全国各地で郊外出店が主の一方、都市部の主要駅周辺への自前出店が少ない。都市部の中心エリアへの出店が多い東急ハンズを傘下に収めることで、事業を補完する形を取った。買収後も当面は「東急ハンズ」として営業を続ける方針。
高家正行社長は22日、都内で記者会見し、東急ハンズと営業的な価値観が共通し、出店エリアが郊外と都市部で重複も少ない点を強調。「相互補完性が高い。両社で魅力ある商品を開発、販売することで新しい生活価値を提供していく」と力を込めた。
東急ハンズの21年3月期の連結純損益は71億円の赤字だった。売上高は631億円で、前年の965億円から大幅減だった。新型コロナの感染拡大に伴う時短営業などが響き、業績が悪化。店舗の老朽化も要因に池袋店など主力店舗の閉鎖も続いた。
カインズの公式サイトによると、21年2月期の売上高は4854億円。