埼玉新聞

 

巨大な9000リットルの木桶、川島の老舗醤油蔵で作製 創業は寛政元年 4日まで創業祭、新大桶はあす3日にお披露目 和食文化の根幹担う醤油、昔ながらの伝統製法で

  • 最後の仕上げを行い3日にお披露目される50石の木桶と笛木吉五郎社長(左から3人目)と棟梁の湯浅啓司さん(同2人目)ら

    最後の仕上げを行い3日にお披露目される50石の木桶と笛木吉五郎社長(左から3人目)と棟梁の湯浅啓司さん(同2人目)ら=10月31日午後、川島町上伊草の笛木醤油

  • 最後の仕上げを行い3日にお披露目される50石の木桶と笛木吉五郎社長(左から3人目)と棟梁の湯浅啓司さん(同2人目)ら

 埼玉県川島町上伊草の老舗醤油(しょうゆ)蔵の「笛木醤油」(笛木吉五郎社長)で、50石(醤油約9000リットル)の大きな木桶(おけ)づくりが行われている。同社では152年ぶり。新大桶は3日、お披露目され、来年2月から醤油造りに使われる。

 同社は1789(寛政元)年の創業。「伝統的な木桶仕込みのクラフト醤油を未来につなげたい」と2016年、50年ぶりに2石の木桶を作製。18年には20石(同3600リットル)、21年に30石(同5400リットル)を作って実用化した。

 50石の大桶は高さ、直径とも2・5メートル。棟梁(とうりょう)は3年前の30石の木桶作製にも関わった徳島県阿南市の湯浅啓司さんが務める。京都府、長崎、長野、徳島県の桶職人4人が集結した。10月21日から作業開始。徳島、高知、奈良産のスギを使った側板60枚を竹くぎでつなぎ合わせ、徳島産タケでつくられたたがを巻いて仕上げた。

 湯浅棟梁は「(スタッフ全員が)50石の木桶は初めての挑戦で、やりがいと緊張感を持って取り組んできたが、いい出来です」と話した。

 同社の50石の大桶作製は1872(明治5)年以来という。笛木社長は「木桶による醤油の製造はステンレスやタンクで人工的に発酵を早く進める方法よりも時間も手間もかかるが、日本の和食文化の根幹を担う醤油を昔ながらの伝統製法を守りながら続けることに老舗企業としての使命を感じています」と話す。

 2~4日まで創業祭を開催する。50石の大桶は3日正午ごろ披露される。問い合わせは、笛木醤油(電話049・297・0041)へ。

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