埼玉新聞

 

批判…称賛される“先生”のLINEグループ、入った人が1500万円を失う じつはサクラが称賛、SNSの詐欺広告から誘導されたLINEグループ 男女ら一斉提訴、メタ社に4億円超を請求「被害を無視、今も広告は垂れ流し」

  • 虚偽広告問題について説明する広告被害対策弁護団の弁護士ら=29日、さいたま市浦和区

    虚偽広告問題について説明する広告被害対策弁護団の弁護士ら=10月29日、さいたま市浦和区

  • 虚偽広告問題について説明する広告被害対策弁護団の弁護士ら=29日、さいたま市浦和区

 交流サイト(SNS)上で著名人に成り済まし、架空の投資話に誘い込む広告に対し、十分な対策をせず被害を助長したとして、埼玉県などに住む6人は10月29日、米IT大手メタ(旧フェイスブック)本社と日本法人に損害賠償計約5768万円を求める訴訟をさいたま地裁に起こした。同社に対しては同日、千葉、横浜、大阪、神戸の地裁で一斉提訴。賠償請求額は、約4億3500万円となる。

 訴状などによると、本県や栃木県、東京都の30~50代男女6人は2023年6月~24年3月ごろ、SNSのフェイスブックやインスタグラムで著名人らを名乗る広告から別のSNSに誘導され、投資話の勧誘や説明を受けて送金し、被害に遭った。昨年12月のケースでは、「投資塾」と称するインスタグラム上の広告からリンク先のサイトを閲覧。通信アプリLINE(ライン)上でサクラとみられるメンバーが塾の「先生」と呼ばれる人物を称賛するグループに入り、投資を行った。画面上で表示された利益を出金できず、詐欺と気付いたが、被害額は1500万円に上った。

 原告側は、同社が自社の規約に反する虚偽広告と認識した上で、実効的な対策を取らず放置しているとして「広告収入などの目的で、詐欺行為が行われることを認容し広告サービスの提供を続けた」と批判した。同日、さいたま市浦和区の弁護士会館で会見した「広告被害対策弁護団」の宮野大翔弁護士は「今も虚偽広告は垂れ流しの状態で、詐欺の格好のツールになっている」と指摘。「プラットフォーム上で起きている詐欺被害を無視している。(広告の)法規制を求める議論を起こしたい」と述べ、広告を出す際の審査や本人確認の強化が必要と強調した。

 メタ社は取材に対し「個別の訴訟に関してコメントを出す予定はないが、詐欺広告に対する取り組みを強化し、あらゆる角度から踏み込んだ対策と措置を講じている」とコメントした。
 

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